宮内庁が指定・管理する応神天皇陵(誉田御廟山=こんだごびょうやま=古墳、大阪府羽曳野市)について、日本考古学協会など考古学・歴史学関係16学会の代表者らが24日午後、立ち入り調査を始めた。古代の天皇の陵墓について、学会側の要望を受け宮内庁が立ち入り調査を認めたのは初めて。
調査が許可されたのは、墳丘を囲む内濠(うちぼり)の外にある内堤で、学会代表者らは周回し、遺物の確認などを目視でする予定。しかし、発掘や遺物の取り上げはできず、墳丘への立ち入りは認められていない。
応神陵は5世紀前半の築造とされる前方後円墳。墳丘は全長425メートルで全国2位。3段の段丘構造で、築造当初は二重の濠と堤に囲まれていたとみられる。応神天皇は中国の歴史書に出てくる「倭の五王」の一人の可能性が指摘されている。また、応神陵を含む「百舌鳥(もず)・古市古墳群」は世界遺産認定に向けた暫定リストに入っている。
宮内庁が指定した陵墓への立ち入りは、学会側が古代史研究に欠かせないとして要望。08年に神功(じんぐう)皇后陵(五社神=ごさし=古墳、奈良市)で初めて実現し、今回で5カ所目となる。山田邦和・同志社女子大教授(考古学)は「内堤に接して築かれた別の古墳や、地震による断層と推定されている段差などについて、新しい情報が得られればいい」と話している。【大森顕浩】
毎日新聞 2011年2月24日 14時19分(最終更新 2月24日 17時55分)