介護報酬改定:職員の待遇改善焦点 分科会で議論始まる

2011年2月7日 21時12分

 12年度の介護報酬改定に向けた議論が、7日の社会保障審議会介護給付費分科会(会長・大森弥東京大学名誉教授)で始まった。介護が必要になっても住み慣れた地域で暮らせる体制「地域包括ケア」のための環境整備や、介護職員の待遇改善などが焦点だ。分科会は、政府が6月にまとめる税と社会保障の一体改革に議論を反映させたい考えだ。

 介護報酬改定は3年ごとに行われるが、12年度は医療の診療報酬改定(2年ごと)と時期が重なる。高齢者医療と介護はサービスの重複が以前から指摘されており、大森会長は分科会で「医療と介護の役割分担や連携が必要だ」との基本的考え方を強調した。

 今回の改定の最大のテーマは、在宅でも必要な医療・介護サービスを受けられる「地域包括ケア」の構築だ。そのための環境整備として、厚生労働省は12年度から「24時間地域巡回型訪問サービス」などの新たな制度の導入を検討しており、分科会で制度の詳細を詰める方針だ。

 現場を支える介護職員の処遇改善も大きな論点となる。菅政権は潜在的な需要の大きい介護分野で雇用創出を目指しているが、処遇改善がなければ新たな雇用を生み出すのも難しいからだ。

 現在は11年度末までの暫定措置として、介護職員1人あたり平均1万5000円相当の処遇改善交付金が事業主に支給されている。それでもヘルパーの平均月給(09年)は約20万円と、全産業平均(32万円)と10万円以上の開きがある。12年度以降、介護報酬を引き上げて恒久的に給与を引き上げるのか、交付金による暫定措置を続けるのかが焦点。介護報酬を引き上げれば保険料の引き上げにつながるが、交付金では約2000億円の国費が必要になり、いずれにしても国民の負担増となりそうだ。

 一方、厚労省は7日の分科会に、在宅サービスの利用額が介護保険の支給限度額を超えている利用者の実態調査(対象約4700人)の結果を示した。訪問看護など医療系サービスの利用が少ないことや、利用者の8割以上が1種類か2種類のサービスしか利用していないことが判明した。【山田夢留】

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