エジプト:エルバラダイ氏、薄れる存在感

2011年2月7日 21時0分

 【カイロ和田浩明】エジプトのムバラク大統領の早期退陣を求める反政府デモが続く中、民主化勢力の主要指導者と見られたエルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長の存在感が急速に薄れている。スレイマン副大統領が6日に行った野党勢力との対話に出席しておらず、デモ参加者の間にも「次期大統領」の呼び声は高まっていないのが現状だ。

 対話には、既存野党のほか、事実上の最大野党勢力「ムスリム同胞団」が参加し、改憲委員会の設置などで暫定合意した。同胞団が政府と公式協議したのは初めてで、政権側が無視できない存在となったことを示した。

 一方、エルバラダイ氏は米NBCテレビで、今回の対話を「誰が誰と話しているか分からない」と批判した。しかし、政権側がエルバラダイ氏と共闘関係にあった同胞団から一定の歩み寄りを引き出したことで、同氏の影響力が弱まったとの印象を与えている。

 ◇「海外生活長くエジプト知らない」

 また、エルバラダイ氏の支持層には、今回のデモを呼びかけたグループも含まれるが、デモ参加者の評価は割れている。「移行期の指導者としてはふさわしい」=モルシー・マンスールさん(56)、男性外科医=との声はあるが、「海外生活が長くエジプトを知らない。立派だが大統領には向かない」=ファトマ・サイードさん(46)、女性病院職員=と否定的な意見も少なくない。

 昨年2月の帰国後も民主勢力糾合に成功せず、「エジプトの変革」を呼びかけながら頻繁に国外を訪問していたことが批判につながった経緯もある。今回の騒乱の中心地となったタハリール広場に姿を見せたのも一度だけだった。

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