就活:経団連方式、見直しも 早期化是正

2011年2月7日 20時49分 更新:2月8日 0時54分

 「大学新卒者の就職活動をいつ始めるか」を巡り、経済団体の足並みが乱れている。日本経団連の米倉弘昌会長は7日の記者会見で、13年春入社の大学生から、採用選考活動を4年の4月以降に始めるよう会員企業に徹底する考えを強調した。しかし、他の経済団体や大学側からの「遅らせるべきだ」との声は根強く、14年春入社組以降、経団連方式が見直される可能性もある。

 経団連は1月、採用活動の開始を従来と同じ4年の4月以降とする指針を発表。米倉会長は7日の会見で「(就職先が)決まらない学生は、(就職活動)時間が短ければ、そのまま卒業することになる」と説明した。一方、経済同友会の桜井正光代表幹事は1日の会見で「学業を妨げずに社会人としての基礎的能力を備えてもらうことも大切」と述べ、開始時期を「大学4年の8月以降」とするよう訴えた。

 同友会は昨秋以降、大学理事長らも招き、採用時期のあり方を検討し、「企業の都合だけでない」(前原金一専務理事)議論で、8月案をまとめた。中小企業を多く会員に抱える日本商工会議所の岡村正会頭は「常識的」と評価。1月末から2月初めにかけて、国立大学協会や日本私立大学団体連合会などの大学側も「学業に支障が出る」として経団連に対し、同友会案とほぼ同じ要望をした。

 足並みの乱れの背景には、経団連の基本方針が、会員企業の意向の「最大公約数」(米倉会長)で決められていることにある。商社のように「留学減少につながっている」(槍田松瑩<うつだ・しょうえい>・日本貿易会会長)として、採用活動の後ずれに賛成のところもあれば、理科系の人材をとりたい業界からは「夏休みを就職活動にあてると、実験、研究活動に支障をきたす」と、早期の就職活動を求める声が上がっているためだ。

 これに対し、経営者が個人として参加する同友会は、自由な議論が持ち味。会員企業のしがらみにとらわれる必要のないことが、8月案につながった。中小企業を多く会員に抱える日商も、大企業主導での採用活動早期化に警鐘を鳴らす。

 同友会の提案は、14年春入社以降を対象としており、経団連と真っ向からぶつかるわけではない。だが、相次ぐ異論を受け、米倉会長は「大学や学生の希望を聞く機会があれば考える必要がある」と今後の見直しもありうることを示唆した。【宮崎泰宏】

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