大相撲春場所:中止なら…非公開の取組になる?

2011年2月4日 22時9分 更新:2月4日 22時9分

満員御礼となった昨年の春場所初日=大阪府立体育会館で2010年3月14日、小関勉撮影
満員御礼となった昨年の春場所初日=大阪府立体育会館で2010年3月14日、小関勉撮影

 4日、日本相撲協会の放駒理事長(元大関・魁傑)が中止の可能性に初めて言及した大相撲春場所(3月13日初日、大阪府立体育会館)。仮に中止が決まった場合、想定されるのが一般非公開での開催だ。八百長疑惑について「時間をかけて徹底的に(調査を)やるべきだ」とする高田川親方(元関脇・安芸乃島)が「本場所は無観客でも開くべきだ」と話したこともある。現実味を帯びてきた、非公開での本場所とは。

 公開実施を原則とする本場所が、例外的に一般非公開で開かれたことがある。終戦直前の1945年6月。東京大空襲で焼け残った旧両国国技館で割れたガラスが修繕されないまま、傷痍(しょうい)軍人や関係者だけを招待し、一般非公開で本場所を実施。興行よりも、場所開催の実績と戦時下の軍部へのサービスを優先させたものだった。

 また、46年夏場所は、旧両国国技館の修理が間に合わずに本場所が中止されたが、番付を編成するための非公式の取組が大阪で行われ、次の場所の番付編成の参考にされた。

 協会規則にあたる「寄付行為」は「力士の相撲競技の公開実施」を事業の一つにしており、各年度の事業計画で「年6場所制で東京3場所、大阪1場所、名古屋1場所、福岡1場所、公開実施し、その都度番付編成を行い、力士の階級順位を決定する」としている。

 本場所は、力士が日ごろの鍛錬を披露する舞台。同時に、力士の技量を審査し番付編成の資料とする場でもある。春場所が中止になった場合、5月の夏場所以降の番付編成のため、46年と同じような措置が取られる可能性がある。

 一方、本場所は協会にとって最大の収入源でもある。協会は11年度の予算で1場所あたり13億円超の収入を見込んでいる。さらに、中止となれば大阪府や地元の業界関係者など春場所の協力自治体・団体などへの補償問題も浮上する。

 ある協会関係者が「興行面の損失よりも、先人が100年続けた伝統を絶対切らすわけにはいかない」とする本場所。果たして、その行方は。【鈴木英世】

top

PR情報

スポンサーサイト検索

アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド