2011年2月4日 21時26分 更新:2月4日 21時32分
国土交通省は4日、宮崎、鹿児島県境の霧島山系・新燃岳(しんもえだけ)の噴火による降灰で、宮崎県都城市と同県高原(たかはる)町にある渓流計35流域で土石流発生の恐れが高まっているとして、宮崎県や両市町など新燃岳周辺自治体に注意喚起した。宮崎地方気象台は4日夜から5日朝にかけて霧島山系周辺で降雨を予報しており、高原町は8地区に広報車で注意を呼び掛けた。【石田宗久、阿部周一、中尾祐児、小原擁】
国交省は1月27~29日、新燃岳周辺で128地点の降灰量を調べた。火口から南東約25キロの帯状のエリアで火山灰が1センチ以上積もっていた。その後、火口の南東約4キロの宮崎県都城市横尾では8センチの降灰を確認。こうした降灰状況と地形から、35流域をリストアップした。
このうち31流域が都城市で、横尾川や山田川など。4流域は同県高原町で祓(はらい)川など。国交省によると、これらの流域に人家はないが、更にその下流域で土石流が氾濫すれば、下流の最大10キロを超える範囲で被害が出る恐れがあるという。
高原町は国交省の報告を受け、4日夕の会議で祓川、高崎川、皇子川流域の花堂、北狭野(きたさの)、南狭野など8地区に広報車を巡回させ住民に土石流への注意を呼び掛けることを決めた。
都城市も同日午後7時から、新燃岳に近い市北西部・西岳地区の4カ所の雨量計を職員が巡回してチェック。雨量や水位をみて住民への避難準備を呼び掛けるかどうかを決める。西岳地区は道路や家屋などに降灰が数センチ積もり、1~3センチ大の噴石も交じる。同地区美川町の公民館長、坂元和雄さん(62)は「この辺りは毎年のように土砂災害が起きる。少しの雨でも土石流が心配だ」と話した。
都城市は危険区域や避難所をまとめた防災マップを各家庭に配布しているが、降灰は想定外。職員は「降灰で危険区域は広がるだろう」と話した。
一方、鹿児島県は1~4日、新燃岳近くの河川にある12カ所の砂防ダムについて緊急の容量調査を実施した。霧島市内の3カ所が土砂などで満杯となっていたため、降灰と大雨が重なった場合に土砂崩れにつながる恐れがあるとして、早急に土砂を除去する。
同県霧島市の宇都克枝・危機管理監は「どの程度の雨量で避難が必要なのか検討する」と話した。雨が降った場合は火口から約6キロの霧島地区で消防団などが巡回する。