<拡大する危機説>
内部に亀裂を生じたNG本社は2010年7月、橋本会長がアニュー中四国加盟店の(株)ウェル代表を務める富田義久氏に代理執行権を付与するというかたちで、一応の決着がついたかに見えた。
NG本社CRO(最高事業再構築執行責任者)に就任した富田氏は、支払い遅延による危機説が濃厚だった7月末、8月末を何とか乗り切った。一方で、手形のジャンプや給与の未払い、人員の削減などNG本社の不安をあおる噂は絶えなかったものの、11月に事務所を移転し固定費を圧縮、さらに手形の支払いサイトを延長するなど苦肉の策を講じながら年末もなんとか乗り切ることができた。ちなみに、前回紹介した「会員宛て文書」のなかで言及されている同社ビル売却の理由「高輪駅開設に伴う再開発計画」に関しては、そのような事実はないとJR側は明確に否定している。この間、危機説があからさまになった同社には、100件近い取引先からの問い合わせが相次ぎ、金融機関の訪問も複数受けた。さらに個人会員からの解約の申し入れにも応じている。
企業の申し入れに応じて、60日や90日の手形決済を現金決済に変更、なかには前渡し現金決済を迫る企業もあり、事実上の出荷停止を招いたケースも数多かった。アニューショップは品薄の状態が続き、フランチャイズ店には仕入先をNG本社から別の自然食卸に切り替える店舗やアニューの看板を下ろす店舗も出た。健食卸各社は、与信面で不安のないアニュー店とは取引を開始するところもある。そして翌2011年、ついに運命の時を迎えた。
[COMPANY INFORMATION]
(株)ナチュラルグループ本社
代 表:橋本 幸雄
所在地:東京都品川区東五反田1-11-9
設 立:1973年7月
資本金:4億9,460万円
年 商:(10/3)165億800万円