安部理一郎
皆様こんにちは、昼は細々と生きる編集ライター、夜はゲーム・ミュージックに優しいビデオゲーム・バー16SHOTSのオーナー(朝は寝てます)、安部でございます。この企画をお聞きしたときに「絶対ソレアルバムかぶりますよね」とか、実はアルバム紹介文章は得意じゃなかったり(結構難易度は高いと思います)して逃げようかと思ったんですが「思い出語りでいいから!」と言われて、それなら遠慮無く! というわけで、紹介の大半はミソジゲーマーのよくある思い出語りとしてお読み下さい。もう食傷気味だとか言わないで。 |
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発売日:1984年8月25日 |
品番:YLR-12002 |
1984年。通いつめたパソコン・ショップの隣にあった大きな書店はレコードを扱っていた。「レコードというものが音楽を聴くためのものである」程度の認識だった当時の僕にとって、多くのレコードは自分とは無関係のものだったが、その中に紛れ込んだゲームのイラストには敏感に反応できた。「なんで、ここに、ソルバルウの絵があるんだろう?」……毎週パソコン・ショップに通うついでに書店に立ち寄り、そのゲームっぽいジャケットを眺める日々。やがてナムコの機関紙「NG」でそのレコードの正体を知る。「これも、ゲームの音楽が入ったレコードなんだ!」……僕にとって、最初に手に入れたGMアルバムといえば、ソフトバンクが出していた雑誌「Beep」の付録のソノ・シート。……アレと、同じものか。試聴なんかできるわけもないし、そんな音楽を聴いている友達もいないわけで、当時、結局そのレコードを聴くチャンスはありませんでした。
時は流れ、音楽に興味を持ち、YMOを知り、どっぷりYMOファミリーを追いかけていた高校時代(後追い世代であります)。そういえば、そんなレコードあったよな……と、YMOに詳しいゲーセン友達のクルマの中で聴いたのが、この1枚でした。繋がった! YMOとゲームが繋がった! 自分の中での2大好きなもの、まさに盆と正月が一緒に来たような、すごいアルバムなんだ、と理解したのはファースト・コンタクトから5年後のことでありました。
音源について今更僕が語れることは多くないですが、25年も経過した今でもまったく色褪せない名盤であることは間違いないでしょう(30代以上にとっては、ね)。YouTubeなんかで見られる細野さんのまったく鍵盤を弾いてないPVも必見です。 |
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発売日:1986年3月21日 |
品番:VDR-1165 |
ゲーム・ミュージックがレコードで発売されている、という事実を認識したのちは、お小遣い、お年玉、親の……おっとっと、あらゆる資金を総動員して、ゲーム・ミュージックを買い始めます。そんな中、レコード店でパックマンのジャケットを見かけて買ったのがこれでした。ところが、自宅に帰ってデッキにテープを入れると(子どもなのでカセット派でした)、むむ、ゲームの音と違うではないですか! 知ってるぞ……この感じ……!(アレンジ盤はすでに「Beep」のソノシートで経験済み)。一瞬、騙された気がしましたが、A面を聴き終わるころには、ゲームのオリジナル音源もいいけど、こういう世界もあるんだ! と感じるようになりました(特にM-3『バラデューク』のエンディング~M-4『スターラスター』のあたり)。続いてB面をセットして、二度ビックリ。パックマンのラジオドラマ風の構成で、これはお子様な自分は素直に受け入れられました。
ロック風の『ニューラリーX』、おニャン子風の『マッピー』、'80年代ニューウェーブアイドル風の『ディグダグ』、そしてなぜか演歌の『リブルラブル』。今ではあまり見かけないほどの派手なアプローチ。かの米光亮氏によるアレンジの数々とパックマン小話は、まるでラジオを聴いているかのような楽しさで、何度も繰り返し聴いていた覚えがあります。しかし、メカマセンってなんですかね? なんて思いながら、時が経つこと10年弱。少年はオトナになり、東京に上京してメカマセンが何だったかを知ります。
ちょっと脱線しますが、僕のメカマセン初体験は渋谷陽一氏が一時期西小山駅前に開設していたゲーム博物館に行ったときだったか、ゲームライターとなってナムコに初取材に行ったときのどちらかだったと思います。当時まだまだ改装中の目黒駅を抜けると、超ボロっちい仮設ホームがあって、「これが、あの、メカマセンってヤツか……」なんて思ったのを覚えています。
しかしまあ人生とは読めないもので、そう思った2年後ぐらいに、実際にメカマセン沿線に6年も住むことになり、名実ともに「目蒲線の男」として暮らすことになろうとは、切ない思い出、バシシ。
(※東京にお住まいでない方向けの説明:目蒲線は、目黒~蒲田間を結ぶ東急電鉄の路線。主に住宅街を走る短い路線ですが、南端の蒲田駅のひとつ手前は矢口渡駅で、ここには旧ナムコ本社がありました。現在目蒲線は存在せず、目黒線と多摩川線のふたつに改称して運行されています) |
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発売日:1986年12月21日 |
品番:28XA-107 |
音楽ファンなら、人生において、何度も買い直してしまうアルバムというものがあることでしょう。僕の場合はこの『SEGA GAME MUSIC VOL.1』がそれ。1度目はリリース直後にテープ版を購入。実は『アウトラン』よりも当時ハマっていた『スペースハリアー』目当てだったんだけど、『アウトラン』の凄さはこのテープで教えられました(当時1プレイ200円だったもので遊びづらかったんですな)。高校生になってシンセに興味を持ち、打ち込みのマネゴトをするものの自分の持っていた鍵盤はステップ入力もクオンタイズもなく、手弾きの限界を感じ、挫折。しばらく『アウトラン』とは縁の無い生活を送っていたものの、サイトロン版の復刻(2000年の発売ですので、もう9年前なんですな!)で再びゲット(テープ版は再生環境が無くなってしまい、聴けなくなったのです)。
オトナになって、初めて買ったクルマ、初めてのiPodにGMを詰め込んで、たまたま羽田在住のお友達の家に遊びにいった帰り、首都高に乗ったらタイミングよく流れた『Magical Sound Shower』には感動。夜景に輝くセガ本社のロゴにこのBGM……ああ、オトナになってよかった!(作りナシです。iPodがたまに神選曲する瞬間って、あるよね?)
さらに時は流れ、ゲーム・バー16SHOTSをオープンするときに仕入れたCDから、アルファのCD版を手に入れます。これで3枚目。そしてそして、お店やるならジャケットも飾りたいよね、ってことでアナログ盤もオークションで手に入れて、人生において都合4回買ったアルバムがこの『セガ・ゲームミュージック VOL.1』でありました。『セガコン』や20周年ボックス、S.S.T.BAND系にも何度も収録される定番だけど、GMファンなら必携の1枚であることは間違いないでしょう。若いGMファンも、古典だと思って聴いてみて。試験に出ます!! |
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発売日:1987年1月25日 |
品番:28XA-110 |
GMアルバムの衝撃にも慣れてきたころ、単純に音楽として聴きこんだのは実はこのアルバムでした。タイトー独特の音源の使い方が気に入って、当時、リアルタイムであるのにすでにノスタルジックな感じ……伝わりますでしょうか? 『フェアリーランドストーリー』を遊びにいったバッティングセンター。『スクランブル・フォーメーション』でまだ見ぬ東京にあこがれを抱いたFM放送局(という名のゲーセンがあったのです)、そしてなんといってもコルグの音源を使った『ワイバーンF-0』。キラキラした音色と、空中物が飛び出してみえるアップライト筐体が印象的でした(その後姉妹機の『イグジーザス』は見かけるものの『ワイバーンF-0』は当時遊んだっきり、20年以上再会しておりません。どこかにあるものなのでしょうか?)
『ワイバーン』もそうですが、当時のアルファ・レコードは憎いもので、未発売のゲームやら超レアゲームなどをサントラに入れて発売してくれちゃってまして……『スーパーデッドヒートII』、『アウターゾーン』は稼働しているところを見たことがございません。『アウターゾーン』は「故障中」の貼り紙が貼られたものなら見たことはあるんですけど……一体、どんなゲームだったんだろうな、なんて想像しながらサントラを聴く、というのも当時ならではの楽しみ方でありましょうか? 古きよきタイトーがギッシリ詰まった1枚です。 |
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発売日:1987年6月25日 |
品番:28XA-166 |
中学生になり、行動範囲も広がって、いろんなゲーセンに行けるようになりました(補導もされない環境になったし!)。さて、一端のゲーマーとなり、大したこと(ゲーム)では驚かないぞ、という妙な自信を持ってゲーセンに行くわけですが、皆様同様に『ダライアス』はかなりのインパクトでした。まず筐体が二人掛け、画面が3つ。コイン入れればおしりが響くし、弾はなかなか敵に着弾しない。なんだこりゃ、ですが、タイトーが提示した「閉じたゲーム時空(一部シート後方は開いてますけど)」は、とてつもない衝撃を少年たちの心に刻み込むのでした。もう、そこが宇宙、すべてが宇宙、みたいな。
そんなゲームのサントラが出るなら買うしかない……若干増えた小遣いを手に、ぼちぼち普及しつつあるCDを横目にテープ盤を購入します。ちなみに当時、一番安い韓国産のCDラジカセでも4万円でした。
ひとしきり原曲盤を堪能したあと、B面をセットしてビックリ。
「なんだ……これは……」
中学生にはまったく理解できない曲がB面まるごと収録されており、なんだこれ、という気持ちと、失敗したかな……という複雑な気持ちが交錯します。そもそも、ZUNTATAというのはわかるがコンスタンス・タワーズとは何か。まったく資料もなく、ひたすらA面とB面の繰り返しで聴く日々(お金がないから買ったものは大事に聴きます)。
そのうち、耳が慣れて来ると「これはこれでアリなのか」という気分になってきますが、このアルバムは音楽知識の浅い当時の僕に相当なインパクトを残しました。
高校生、大学生、社会人となるにつれ、テクノ、ニューウェーブの知識をちょこっと仕入れると、あのアルバムのやりたかったことがなんとなくわかるようになってきました。しかしあれから20年、いまでは普通に聴けるようになったミックス(というか、再構築ですか)ですが、20年も前にあんな曲をGM少年たち向けのアルバムに仕込むとは、コンスタンス・タワーズ……恐ろしいユニットです。
蛇足&お恥ずかしながら、B面のアレンジはすべてコンスタンス・タワーズが担当していたと思いこんでいたのですが、先日のインタビューによると、OGR氏が3曲、コンスが2曲(M-9、M-11)とのことでした。コンスタンス・タワーズについては前回僕が担当した松前公高さんのインタビューにチラっとお話が出ていますので、興味があるかたはご一読を! |
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発売日:1987年10月21日 |
品番:VDR-5222 |
ダライアスと同じ時期、まともに通うようになったとあるナムコ直営店にて、1冊の小冊子(とはいえA4サイズ)を手渡されます。白黒の表紙に『ドラゴンスピリット』……。漫画でつづられたゲーム紹介にまずビックリ、流し読みをして後ろを向くと設置済みの『ドラスピ』の奇麗さにまた驚き、テーブルに座ってコインを入れれば、あまりにもメロディアスな1面BGMにトドメを刺され……。
ナムコって、やっぱりスゲエなあ、と再確認したのがこの『ドラゴンスピリット』というゲームでした。かの「めがてん」の名を初めて知ったのもこのアルバムを買って、帰りのバスの中で読んだライナーノーツでありました。そう、このゲーム、めがてん細江さんのデビュー作であることは当サイトの読者様なら常識ですよね。
そういやこの時期は、アーケードゲームが世界でサイコーに偉い時代で、家庭用、パソコンはそれよりもスペックが低く、「移植版がどれだけ再現されているか」で各機種間のユーザーがバトルするという平和な時代でした。『ドラスピ』に関してはX68000版が文句ないできばえですが、GMファンとしては各機種の移植版の音源を聞き比べるというのも面白いんじゃないでしょうか。pAPUによるファミコン版、波形メモリ音源によるPCエンジン版(中古市場で見かけませんが一応アポロンよりCDが出ています)、再現性はさておき、どちらも今聴くとそれぞれ味わいがあってよいと思います。
さて、『ドラスピ』のアルバムのような『VGG2』ですが、そのほかの収録曲も見逃せません。小沢純子さんの女性らしくかわいくポップな魅力満載の『トイポップ』、ゲームはひたすら地味でしたが戦争モノゲーム音楽としてはマイ・ベスト5に入る『ブレイザー』、ゲーム歌謡として名曲中の名曲『ワンダーモモ』(のちに桃井はるこさんがカバーしましたね)、FMベースとピロピロ音で宇宙を表現し、どこか悲しいメロディがたまらない『サンダーセプター』。リズムのグルーブ感は今でも使える『妖怪道中記』、全曲ハズレなしでオススメの1枚です。 |
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発売日:1989年12月21日 |
品番:25A2-8 |
ひたすらゲーセンが主役だった80年代、その一方で元々自分はマイコン少年でした。『ドラえもん』読みたさに創刊まもないコロコロコミックを購入→『ゲームセンターあらし』を知り→『こんにちはマイコン』でマイコン購入、という流れはアラフォー世代には定番かと思います。ひとつだけ、品薄だったPC-6001でなく、日立ベーシックマスターJr.を買ってしまったことを除いては……。
この機種、発売直後は日立の関連会社からパチモノ風ゲームがいろいろリリースされていたのですが、1年半ほどでリリースもなくなり、日立は互換性のない新機種に移行し、面倒を見てくれるのはマイコンBASICマガジンとPIO(工学社)のみ、というお寒い状況。ああ、新しいパソコンが欲しい! と思い続けること4年、中学の合格祝いで「ねんがんの」PC-8801FHをゲットすることができました。
ベーシックマスターJr.の音源といえば、おそらくビープ音の変調による短音3オクターブのみ。それでもMUSIC文という命令がありまして、分解能は確か16分音符までは行けたはずなので、時分割によるアルペジオで疑似和音が鳴った! なんて遊びをやってたと思うんですけど……まあJr.の話はさておき、そんな貧相な音源から、一気にOPN(FM3音+SSG3音)にパワーアップ。べーマガにもゲーム・ミュージックを演奏するプログラムが掲載されはじめ(かの古代祐三氏をはじめ、多くのGMコンポーザーが通った道でした)、それを打ち込んでは「ああ、おれの88スゲエなあ」とご満悦だったわけです。
そんな楽しすぎる88ライフ黄金期の1988年にボーステックから突然発売されたのがこの『ザ・スキーム』です。88がFM6音+SSG3音+ADPCM+リズム6音というスペックに変身する『サウンドボードII』に対応し、しかも曲がまったく違うというふれこみ! さらに曲はあの古代祐三氏が担当! 今で言えば薄型PS3にFF13の同梱が決定して音楽が古代祐三(ありえない)! 的なインパクトでした、僕にとっては。
というわけで何が何でもサウンドボードIIを手に入れて……友人からお安く譲ってもらったのですが、このとき、なんと、G.M.O.シリーズの買い集めてきた音源をトレードで手放してしまっているのです! ああ、おれのバカ! タイムマシンがあればまずここに行って説教します。
「古代祐三のアルバムから1枚選べ」と言われたら『ミスティ・ブルー』と迷った挙げ句これを選びます。それだけオールド古代テイストがギッシリ詰まっています。 |
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発売日:1981年3月21日 |
品番:VICL-40014-5 |
『ドラゴンスピリット』から4年、ついに続編『ドラゴンセイバー』が発売されます。もう高校生で、知恵も付いておりましたので、続編の情報入手も早く、「あの『ドラスピ』の続編なんだから曲が悪いわけがない」と、発売前から曲ゲー認定完了しつつ(入荷が)まだかまだかとゲーセンに通いつめ、タメ撃ちにとまどいながらも「やはり神!」と、ゲーセンが付けてくれたヘッドフォン端子で細江さんの曲を堪能しつつ……ああ、幸せな日々でありました。
しかしどうしたことか、なかなかサントラが発売されません。リリースされたのはゲームの登場から3か月後のことでした。3か月――今、編集者という立場になって物事の制作されるプロセスを知っているとそんなものかな、と思いますが、当時の僕にはあまりにも待ち遠しい3か月でありました。ステージ4「地じん」の曲が聴きたくて聴きたくて、おそらく、ゲームサントラの発売日を初めて待ち遠しいと思ったのはこの『ドラゴンセイバー』だったと記憶しています。
ディスク2枚組の全曲収録で、隠し曲である新アレンジの『ドラゴンスピリッツ』6曲も、前出の『ビデオゲーム・グラフィティVol.2』と比較しつつ聴きましょう。 |
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発売日:1994年2月18日 |
品番:PCCB-00144 |
中古ショップでよくたたき売られていることの多いネオジオ系のCDですが、たたき売られているということはそれだけ入荷数が多い=売れた証でもあります。ネオジオ系で何か1枚、と言えば、個人的に思い出の多い『龍虎の拳2』のサントラを選びたいと思います。
大学進学で上京してしばらく、なぜかあこがれのマイコンBASICマガジンでライターを始めることになりました。当時のべーマガ……いや、ゲーム業界は空前の対戦格闘ブーム。べーマガからも対戦格闘ゲームの攻略本がリリースされておりました。僕が初めて参加した攻略本がこの『龍虎2』で、さんざんプレイしたのが懐かしいです。格闘ゲームの腕前なんて、地元のゲーセンで何番目か、ぐらいのもので、とりわけ得意ジャンルじゃなかったし、SNKのゲームなんか(失礼)やりこんでいなかったのです。
来る日も来る日も『龍虎2』の修行と、原稿のリテイクの嵐。どちらか一方が素人ならばまだよかったものの、格闘ゲームも素人、原稿書きも素人、これは大変で、おそらく一番聴いた格闘ゲームのBGMは、というと『龍虎2』だと思います。
ネオジオのサウンドといえばYM2610、FM音源としては4音と物足りないものの、リッチなADPCMが特徴で、今では当たり前のストリーム再生によるBGMというのは、100メガショックなネオジオだからこそ、だったと思います。
オススメ曲は『ムスタングマン』、『かぼちゃとピエロ』、『ダイエット』などなど、この時代のネオジオ格闘ゲームはどれも曲調(タイトルも)が個性的で、オススメです。 |
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発売日:1988年11月21日 |
品番:CRCP-15524-5 |
ゲームで泣いたことってありますか? オトナになるにつれ涙腺が緩くなっていくものですが、個人的に号泣レベルに到達したソフトって、『風のクロノア』が最初です。『風のクロノア』は、プレイステーション用のアクションゲーム。プレステ1なのでポリゴンで描かれつつも『マーベルランド』にも似た、ほぼサイドビューで、昔ながらのジャンプアクションです。夢見る黒き旅人クロノアと、幼なじみのヒューポーが悪夢をはらすべく各ワールド(VISION)を旅するのですが、最後はとても悲しいエンディングが待っています。最近はWiiでもリメイク版が発売されたので、まだ遊んでいない人にはオススメです。ただしWii版ではPS版の特徴であった、クロノア語の吹き替え(よくわからない言語でクロノアが全編喋るのです)が、標準状態では聞けないとのことなので、クロノア語アリのプレイを強くオススメします。
さて『クロノア』のサウンドなんですが、開発期間が長かったゲームとかで、大変多くのナムコ・サウンドスタッフが参加しています。どの曲も素晴らしいのですが、VISION1-1の曲『The Windmill Song』はメインの井村絵里子さん+小沢純子さんの共作で、牧歌的かつ高原に遊びに来たようなスケール感ある、『クロノア』といったらコレ、という曲です。ほかにも大久保博さん、中西哲一さんをはじめ、近代ナムコサウンドを支えるアーティストが目白押し。特筆すべきはキリンジの堀込高樹さんがナムコ時代に参加した作品で、サントラ化されているのはこれだけかと思います。 |
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発売日:2004年12月15日 |
品番:WWCE-31064-5 |
オトナになってからどっぷりハマってしまったソフトといえば、チュンソフトのゲームでした。アーケード大好きだったものでスーファミソフトのチェックが甘く、先輩ライターから『かまいたちの夜』を借りたのがサウンドノベル初体験。その後『弟切草』、『トルネコの大冒険』、『風来のシレン』とどれも長いこと遊ばせていただきました。当時はインターネットが無く、攻略本もガイドブックがある程度で、チュンソフトのゲームを最後の最後まで遊ぶとなると、まったくノーヒント、情報交換もどこかのBBSでやっていた程度で、そこまで行って答えを聞くよりは、のんびり自力で最後まで派だった自分は、弟切草の真エンドを見る(「完」表示)のにホントに1年かかってしまいました。
それだけプレイ回数が多いソフトとなると、音楽もかなり聴きこんでしまっています。それぞれのゲームのサントラが発売されているものの、今回はまとめて聴けるベスト盤をオススメします。不思議のダンジョン系はすぎやまこういちさんの作品のせいか、収録されていませんが、あわせて『風来のシレン』のサントラもどうぞ。
収録作品としては『弟切草』、『かまいたちの夜』、『街』、『3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!』、『シレン・モンスターズ ネットサル』、そして懐かしの『ドアドア』、『ニュートロン』が収録されています。そうそう、『街』のオープニングとエンディングテーマもあわせて押さえておきたいので、鈴木結女の『夜明けのうた』、『One and Only』もどうぞ。 |
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発売日:1988年9月15日 |
品番:CT32-5299 |
高校生のころはYMOの存在を知り、ひたすらソッチ系を追いかけていて正直ゲーム・ミュージックはおろそかにしておりました。後追いもいいところ世代なもので、YMO本編からそれぞれのソロ、YMOファミリーと呼ばれる方々のアルバムなどをなめ回し、最終的にはテクノ方面に広がり、関東在住の友達に録画してもらったbeatUKを送ってもらうのが楽しみ、みたいな音楽ライフだったのですが、その過程でロジック・システムという名を耳にします。ほうほう、第4のメンバーと言われる松武さんのユニットか、そうかそうか、と『To・Gen・Kyo』が出たころの認識だったでしょうか。
時は流れ、べーマガ・ライター時代。ベントスタッフの麻雀大会で当時だれも欲しがらなかった『サテラビュー』を手に入れます。「宇宙から来たゲームがつまんないわけがない!」と、夕方6時からテレビの前にかじりついてゲームをやっていたわけなんですが、ここで『BSゼルダの伝説』を体験します。ほとんどの方がサテラビューを体験されていないと思いますので軽くご説明差し上げますと、サテラビューにはダウンロード&全国参加型ゲームというものがありまして、月曜から木曜までの6時から、衛星のダウンロード機能でダウンロードしたソフトを、30分の制限時間で全国一斉に遊ぶ、という、いまでいうオンラインゲームのイベントのようなことをやっていたのです。ゲーム自体はすでにあるソフト『ゼルダの伝説』、『ドラゴンクエスト』などを改造したもので、『ドラクエ』なら30分で小さなメダルを何枚集められるかとか、あの『ゼルダ』なら何ルピー稼げるか、というルールだったのですが、全国一斉に同じ時間に全国のサテラビューワーたちが遊んでいることを考えると、もう激アツだったわけです。
サテラビューはSt.GIGAというBSのデジタルラジオ局のチャンネルを使っていたと記憶していますが、ここで思わぬ副産物として、デジタルラジオがBGMのチャンネルになるわけです。なので、画面はスーファミでも、BGMはアレンジ・サントラ級。「よいサウンドがもたらすゲームの評価アップ効果」に関しては皆様も体験していることでしょう。『ゼルダ』が、ものすごい音で遊べるわけです、しかも全国一斉というスーパーハイテンション状態で。あれはいいゲーム体験だったなあ……。
という思い出話をしつつ、そしてさらに時は流れ、21世紀になって、このアルバムをふと安価で入手します。あまり期待せずに流しつつ聴いていると、どこかで聴き覚えのあるフレーズが……! これはッ! 『BSゼルダ』のッ! バックでかかっていた曲じゃないかッ!!!
音楽は記憶を呼び戻す。その瞬間、楽しかったゲーム体験がフラッシュバック。クレジットを見て二度ビックリ、松武秀樹&入江純って、ロジック・システムじゃん! 正直、GMファンにはウケの悪い系統のアレンジかと思いますが、素直なアレンジ・アルバムとしてはよいデキだと思います。個人的思い入れを語る場とのことなのでプッシュさせていただきます。安価で手に入るようならオススメです。 |
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発売日:2005年8月24日 |
品番:COCX-33324 |
思い出系はこれにて一段落。最近僕のハマっている「ゲーム歌謡」を紹介していきます。ゲーム歌謡とは、文字通り、「ゲームの曲に歌詞を乗せたもの」で、最近のやたら多いアーティストとの主題歌タイアップなどは除外したいところです。古くは『ビデオゲーム・グラフィティ』の『目蒲線の女』、『ワンダーモモ』。90年ごろでは主題歌物ですが『シルキーリップ』、『対向車両のデイト』(みつばち学園)なんかもいいですね。この頃からCD-ROMが使えるようになったので、歌モノがゲーム自体に入ってくるようになります。
そして21世紀を迎えると、音楽ゲームもすっかり定着したのち、マニアックな方向に進みます。そんな中でこの『太鼓の達人』。このアルバムは同作のアニメ曲と、ナムコオリジナル曲を収録したもので、このナムコオリジナル曲に、オールドナムコゲームをモチーフとしたものがあるのです。M-2『リブルとラブルのマジカルファンタジー』(堀江美都子!!)、『ドリルファイターゴーゴーDigDug』(影山ヒロノブ)、『L・O・V・E』(宍戸留美/『パックマニア』)、『未来への鍵』(土屋実紀/『ドルアーガの塔』)、『ワンダーモモーイ』(桃井はるこ)、いずれもたいへん完成度の高いゲーム歌謡です。特にオススメは『未来への鍵』。編曲は『IM@S』などで著名な佐々木宏人さんによるものなので、もう『IM@S』に入れちゃえばいいじゃない、と思うぐらいのバラードです。
そのほかにもM-1の『響け! 太鼓の達人』は、水木一郎、堀江美都子、影山ヒロノブという超超豪華アニソンボーカリストが歌う名曲なのですが、作曲も今をときめく神前暁さんという、本当の神曲です。アニソンファンからGMファンまで、広く(狭いか)オススメできるアルバムです。 |
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発売日:2003年12月17日 |
品番:CPCA-1083 |
ゲーム歌謡、ゲーム歌モノジャンルといえば忘れちゃいけないのがセガの光吉猛修さんです。古くはS.S.T.BANDのR三郎丸としてご活躍、最近では先日発売された2枚組ベスト『From Loud 2 Low too』ではアダルトなロックも聞かせる、ゲーム・ミュージックコンポーザー業界イチのボーカリストです(ほかにあまり例がないとも言います)。『バーチャファイター』の『愛が足りないぜ』、『デイトナUSA』、『ビクトリーゴール』の『未来へと続く空』、『バーニングレンジャー』の『Burning Hearts』などなど、セガファンならずとも光吉さんの歌声は必ずどこかで聴いたことがあるはずです。
そんな光吉さんをはじめ、元ゲーマデリックMARO吉田さん、SuperSweepから細江さん佐宗さん、相原隆行さん、古川もとあきさん、下村陽子さん、松前真奈美さん、光田康典さん、葉山宏治さん、古代祐三さんに渡辺恭久さんと、誰一人省略表記できない超豪華メンバーによる、『ストII』トリビュート・アルバムです。このアルバムの1曲目が光吉さんのアレンジ&歌による、リュウのテーマ、全編英語詞で太鼓がドカドカ鳴り響く、とても暑苦しい(ホメ言葉)アレンジとなっております。
そもそもこのCD全体が、「もしほかのメーカーから『ストII』が発売されていたら?」なんて妄想もできちゃう楽しさと、下村さんが作った完璧なる『ストII』楽曲のイメージをブッ壊すという、かなり高レベルな企画だと思います。もう、何万回も聴いてる曲をリミックスって、難しいと思うんですよね。実行しちゃったセルピュータと各アレンジ担当コンポーザーさんたちに拍手。 |
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発売日:2004年12月22日 |
品番:TKCA-72795 |
アーケードにおけるゲーム歌謡の元祖といえばたぶんコレ、石野ようこの『テディーボーイ・ブルース』です。石野ようこさんは最近はあまりお姿を拝見しませんが、あの石野真子の実妹で、『志村けんのだいじょうぶだあ』のレギュラーとしておなじみの、あの石野陽子(当時の表記)さんです。デビュー曲『テディーボーイ・ブルース』はなぜかセガとのタイアップで、タイトル画面からインゲームまですべて石野陽子の曲。ゲーム自体はとくに面白いというレベルではありませんでしたが、音楽聴きたさにコインを入れるゲームではありました。
で……おそらくなのですが、リアルタイムでこのゲームを遊んでいた人たちでも、実際の音源を聴いたことがある人って少ないんじゃないでしょうか? ゲームの出回りはそこそこだったようですが、肝心のレコードの売り上げはイマイチだったようで、僕はオトナになってから、EPを入手して初めて原曲を聴くことができました。
ちなみに、『SING!!~SEGA GAME MUSIC』というアルバムにも『テディボーイ・ブルース』は(MEGA-CD用ゲームとして)収録されているのですが、こちらはなぜかB.B.クイーンズが別の曲を歌っていて、なんというか、ビミョーな気分になりますので、ご購入の際はよくお確かめください。大黒摩季が『アフターバーナー』を歌ってたりして、別の意味で面白いんですけど。 |
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発売日:2008年8月20日 |
品番:SRIN-1046 |
古いのばかりでは何ですので、最近のGMから1枚ご紹介。スーパースィープといえば細江、佐宗の2大巨頭な印象ですが、ぼちぼち新しい音も聴いてみたい! という意見があってもいいはずです。そこでスーパースィープの秘蔵っ子、安井洋介さんの登場です。これまでアレンジ仕事やSEなどのお仕事が多かったようですが、2008年に発売された『まもるクンは呪われてしまった!』では、見事にピン仕事をやり遂げております。
さて、家庭用ゲームが実権を握って以来、壮大なストーリーを紡ぐRPGやSLGが増え、音楽の制限もずいぶん減って、古き良き制限の音楽であったゲーム・ミュージックはずいぶんと存在感がなくなってしまいました。そう、今のゲームの音楽は、その役割に徹するがあまり、存在感が無くなってしまったものが多いのです。『バイオハザード』の曲、と言われてピンとくる人って、いらっしゃいます?(もちろん『バイオ』の曲がダメというお話ではありません)。
その点においては『まも呪』のサウンドときたら、クッキリハッキリのメロディラインにワクワクしたり不安になったりするコード、さらにはFMベースっぽいブリブリの音や、どこかで聴いたことありそうでないフレーズなどなど、一発でファンになる人続出のサントラです。
ゲーム本編の出回りがイマイチだったようで、ゲーム共々、新しいゲーム・ミュージックにも耳を傾けてみてください! |
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発売日:1996年4月5日 |
品番:SQEX-10036/7 |
問題です。『聖剣伝説』のコンポーザーといえば誰? (1)伊藤賢治さん (2)菊田裕樹さん (3)下村陽子さん……正解は、全部なんですが、それでも、1番とか、2番とか答える人もいると思います。それほど、『聖剣』サウンドはシリーズによって違った解釈で、また面白いところでもあります。
今回紹介する『Legend of Mana』はナンバリングタイトルではありませんが、1999年に発売されたプレステ用ソフトです。元々ピアノの人だけあって、しっとり聴かせるピアノ主体の曲、まだ見ぬファンタジーの景色を想像させつつ、オープニングらしさを持ち合わせる『Song of MANA(オープニング)』、宮崎アニメを彷彿とさせる『ホームタウン ドミナ』……数え切れない名曲揃いで、『Legend of Mana』をプレイした人はゲーム中の名シーンの数々を思い出さずにはいられないはず。
さて、数ある『聖剣』サウンド、また、下村サウンドの中からなんでこのアルバムかといいますと、『Song of Mana』の歌詞がスウェーデン語だからなのです。私、編集、ライター業を営みながら、ゲームミュージックファンにやさしいゲームバー、16SHOTSというお店を経営しております。この店、過去にスウェーデンの雑誌で紹介されたこともあってか、アメリカ人の次にスウェーデン人がよく来店するのです。スウェーデンといえば、日本では家具屋のIKEAか臭い缶詰のシュールストレミングぐらいしか知名度はありませんが、実はゲーム大国で、『バトルフィールド』や『ミラーズエッジ』でおなじみのDICE、最近閉鎖されたことで話題になった『バイオニックコマンドー』のGRINもスウェーデンの企業です。わずか人口1000万人弱の国から、もう50人弱はお客さんが来たんじゃないか、というぐらいスウェーデンの人はゲーム好きな印象です。
中には『Song of Mana』を歌えるスウェーデン人もいたりして、なんかステキな国際交流、下村さんスゲエ、ゲームに国境など存在しないと、日々考えさせられます……というお話でした。 |
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発売日:2006年3月20日 |
品番:PCCR-90020 |
もう1枚、最近のアルバムから『もじぴったん大辞典』を紹介します。クロスワードの変形版のような、時間制限式のパズルゲームで、左の「えらぶくん」にある文字を使って言葉を作り上げていきます。BGMもウキウキする感じですが、SEもポップですばらしく、解けないとすぐ飽きて挫折しがちなパズルゲームを楽しく盛り上げて、やる気を継続させてくれます。
作曲は『涼宮ハルヒの憂鬱』や『化物語』、『かんなぎ』など、人気アニメのサントラには欠かせない神前暁さん。GMを聴かない人に説明するとしたら、ゲーム/アニソン界の中田ヤスタカと言っても間違いないでしょう。引き出しの多さにも驚く神前さんですが、この『もじぴったん』サウンドは、capsuleのようなラウンジ系テクノ・ポップとしてまとめ上げています。M-12『ふたりのもじぴったん』は実際にアレンジャーに中田ヤスタカを起用しており、初期のサウンド構築段階からそうしたかったのかな、という意図もくみ取れます。
アニソンもいいけど、もう一度ゲーム音楽に帰ってきてほしいアーティストのひとりですね。 |
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発売日:2005年4月27日 |
品番:KICA-1366-7 |
そしてそして、ゲーム音楽にいくつかジェネレーションがあるとしたら、『リッジレーサー』シリーズはやはり外せないでしょう。しかし、ナムコ・サンプリングマスターズを取るか、現在進行形のリッジを取るか、そんなの選べな~い! というわけで、このアルバムなら代表曲ほぼ網羅、ということで昔リッジ、今リッジが1枚で堪能できてしまうお得なアルバムだと言えましょう。『リッジ』をあまりよく聴いてない人に特におススメで、気になったトラックがあれば、そのオリジナルのアルバムを聴いてみて興味の環を広げてみてはいかがでしょう?
『リッジ』関連のサントラは数多く発売されていますが、未だに『レイジレーサー』と『R:Racing Evolution』はシリーズ認定されていないのか、サントラが発売されていません。もったいないから、早く、大至急、早急にサントラ化してください! |
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発売日:2007年7月26日 |
品番:WM-0574 |
20枚のオススメ文章マラソンもいよいよ最後の1枚。比較的最近リリースされたものですが、モノ自体はずいぶん古い『ギャラクシーフォースII&サンダーブレードOST』です。『ギャラクシーフォースII』自体の初出は88年発売の『G.S.M.SEGA1』になりますが、後者のほうが音もよく、録音レベルも今風なので、この機会に買い直すことをオススメします。『Beyond the Galaxy』は原曲版と、[H.]によるアレンジ版、そして並木晃一さんによるアレンジ版も収録していて、原曲含めて全部素晴らしいアレンジ。クリアできなかった人も、高くてお金を入れなかった人も、サントラならみんなエンディングまで連れて行ってくれますし。サイトロン版では松前公高さんによる打ち込み(アレンジは国本佳宏さん)の『Beyond the Galaxy』、『MAGICAL SOUND SHOWER』、『MAIN THEME』、『AFTER BURNER』、『DEFEAT』が収録されています。このアルバムの収録から、S.S.T.BANDの歴史はここから始まったのでした。 |
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