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エジプト革命は広がらない!
2011.02.12
[コラム]
ムバラクが辞任した。アフリカ大陸のリーダーにありがちな自らを偶像化してやまないリーダーの代表格なのでもう少し粘るかと思った。多分、32年前の同じ日(2月11日)に起こった“イラン革命の再現”を恐れたアメリカの支援を得られなくなったのだと思う。私はこの辞任によってエジプト革命が早急に他国に広がり、原油・食糧市場を混乱させる可能性は少なくなったとみる。
エジプト革命の広がりを図るには以下の点を考慮すべきだろう。1・国の開放度と国家安定性の相関(いわゆるJカーブ)、2・若年失業率、3・人口サイズ、4・ソーシャルメディア監視体制、5・現政権の危機対応能力。まあ物理学のようにはいかないので当たらないかもしれないが・・・
私の結論は、前述のごとく「エジプト革命が他国に広がって原油市場や食糧市場を混乱させる可能性は低い」というものだ。上記の5点で分析すると、エジプト固有の要因が多いからだ。
他国に伝搬するような大騒ぎ期待して、視聴率稼ぎたい英米メディアは「革命が広がる」とお祭り騒ぎだ。CNBCでは、商品市場で仕掛けたいファンドの連中が、地理や国際関係をよく勉強せずに「スエズ運河が危ない」「次はサウジ」とかいって、仕掛けまくっていた。残念ながらそうはならない!スエズ運河閉鎖されないし、そんなところ通っている原油はごくわずかだ。
国益が自分益である中東産油国リーダーたちはそれほど愚かではない。エジプトの失敗からしっかり学んでいると思う。国家の開放に最も賛同のUAEから最もイヤイヤのクウェート・サウジまで色んな対策を打ってくると思われる。同じ轍は踏まない。ネット監視強化と民主化、硬軟取り混ぜて同時にうまくやると思う。
チュニジアの“ジャスミン革命”は典型的なJカーブ左端事件。国家を開放することによって国家の安定性が大きく揺らぐ典型例だ。ウィキリークスとソーシャルメディアのコラボに弱い十八番のような事例。エジプトはチュニジアよりJカーブのずっと右にあり、開放されていて追加の開放にも安定性を見せるはずであった。
うがった見方をすれば、ソーシャルメディアと親和性の高いオバマ民主党政権は、中東の湾岸諸国の政権転覆狙ってまずチュニジアに仕掛けたと思う。その余波はエジプトを通り過ぎて中東湾岸諸国に行くと予想していただろう。ところが、ムバラクが強烈な弾圧という最悪の手段に打って出たため、想定外のエジプト暴発。その後の対応もさらにまずく、親米政権が転覆してしまった。米国にとっては、これは想定外に都合悪いことだ。チュニジアから、エジプト通り越して、直接湾岸への飛び火が本来の予定だった。
かといって、これを契機に、エジプトに反米親イラン政権が生まれる可能性は少ないとみる。軍部の統制下における穏健な多党制に移行すると思われる。国内にアルカイダのような過激分子がおらず、ムスリム同胞団もジハード主義者とは一線を画する穏健派である。イスラム原理主義者が実権を握ることは考えにくい。軍事政権が民主的選挙実施への移行をどれくらいの信任を国民から得ながらどれほどのスピードで行っていくかが焦点だ。エジプトの軍部は士気は高く忠誠心も強いが、エジプトは軍事政権が長く君臨するには平和すぎる。
エジプト革命の余波はヨルダン、イエメン、アルジェリアには及ぶのではないか?政府の対応次第であることは当然だが。
この中で最も賢明な対応をしていると思うのが、ヨルダン。ヨルダンではこの事態を見越して2月1日にさっそく内閣総辞職した。エジプト革命の影響を最小限にとどめることができるかもしれない。
イエメンはアリ・アブドラ・サレエ現大統領が13年の大統領選への不出馬声明出したくらい。これがどれくらい効果はあるかは定かでない。ただ、アルジェリアよりましだろう。
アルジェリアでは、アブデルアジス・ブーテフリカ大統領への批判が高まる。彼は2009年に二期目の任期が迫る中、2008年に強引に憲法改正して大統領3選を可能にした。09年の選挙では徹底的に野党を弾圧し、3選となったばかりだ。アルジェリアに19年間続いた非常事態宣言を解除するなどの対応はしているが、これは全く効果ないだろう。