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【社会】

対ステルス網構築へ 中ロに対抗

2011年2月21日 08時49分

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 防衛省はレーダーに映りにくいステルス戦闘機を発見し、迎撃する本格的な防空システムの構築に着手する。世界最先端の日本の技術を組み合わせて開発する。国防で重要なのはステルス機の保有よりもステルス機の攻撃からの防御との見方もあり、省内で始まった次期戦闘機(FX)の機種選定に影響を与えることも予想される。

 ステルス機は、戦闘機のレーダーには映りにくいが、周波数の異なる地上レーダーや熱を探知する赤外線によって比較的発見されやすい特性を持つ。新システムは地上と上空からステルス機を探知し、航空自衛隊の自動警戒管制システム「JADGE(ジャッジ)」で情報を分析し、戦闘機や地対空ミサイル部隊に伝達する。

 防衛省はあらたな地上レーダーとして、複数の送受信アンテナを活用する最先端技術「MIMO(マイモ=複数出入力装置)」を採用する。送信機、受信機はそれぞれ二メートル四方と小型だが、現有の高さ三十四メートルの超大型レーダー「FPS5」の性能を上回る。

 全国のレーダー基地をマイモに置き換えることにより、ステルス機がはね返したレーダー波をいずれかの基地で受信し、ステルス機の探知が可能となる。新年度から五年間で三十九億円を投じ、研究に着手する。

 上空からの発見には、「レーダー・赤外線複合センサー」を活用する。新規に開発するステルス機を探知できる低周波レーダーと、完成済みの赤外線探知機(通称・エアボス)を組み合わせて無人機などに搭載する。研究は本年度から始まり、五年間で九十八億円を投じる。

 得られたステルス機の情報をジャッジで分析し、機数や位置を特定して上空の戦闘機部隊にデータとして送る。このデータを活用するため、二〇〇九年度から三十五億円をかけて戦闘機間で情報交換できるデジタル通信システムの研究・開発に着手した。

 日本周辺のステルス機はロシアが「PAKFA」の開発に成功、中国は「殲20」を開発中だ。防衛省はこれらのステルス機が実戦配備されるまでに研究・開発を終え、新システムを完成させたいとしている。

(東京新聞)

 

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