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きょうの社説 2011年2月24日
◎高峰映画の先行上映 「ふるさと愛」の桜よ花開け
世界的化学者、高峰譲吉博士を描いた映画「TAKAMINE〜アメリカに桜を咲かせ
た男〜」が4月9日から、全国に先駆けて石川、富山両県で先行上映される。「さくら、さくら」の続編となる今回の新作では桜を米国に贈った史実を基に日米親善に尽力した博士の苦闘が描かれ、前作と合わせてスケールの大きい足跡を残した博士の全体像をつかむことができる。「さくら、さくら」の上映によって高峰博士への関心が高まり、特に将来を担う若者た ちが博士の志に触れて、多くの共感の声が上がったことは心強いことであった。続編は「博士の苦悩を描きたい」とメガホンを取った市川徹監督が「苦しい時に人が何をすべきかというメッセージがワシントンに贈った博士の桜に込められている」と語ったように、100年前の激動の時代を信念を持って生き抜いた博士の姿から、観客それぞれが感じ、学ぶ点も多いだろう。 高峰博士の桜に込めた平和へのメッセージと困難を乗り越える行動力には、難問が山積 する現代においても国境を超えて、人々の心に強く訴えかけてくるものがあるはずである。博士のような人物が生まれ育ったことは郷土の誇りであり、スクリーンを通して、多くの人に「ふるさと愛」を育んでほしい。 米ロサンゼルスでは4月10日に公開予定で、高峰博士ゆかりの桜の「里帰り」計画を はじめ、「無冠の大使」として日米親善に奔走した博士の功績を再評価する動きが両国で広がっている。博士が設立したニューヨークの日本人の社交クラブ「日本クラブ」も記念イベントなどの後押しを考えており、高峰ブームの高まりが期待される。 加賀藩の御算用者(ごさんようもの)一家を描いた映画「武士の家計簿」の観客動員数 は全国で132万人を突破し、石川県で10万人、富山県で3万人を超えている。舞台となった金沢、加賀藩へ全国的な注目が集まったが、ふるさとのよさをあらためて感じた人々の輪が地元で広がったことが、何よりうれしいことであった。高峰博士の映画も同じように「お国自慢」したくなる作品である。
◎NZ地震被災者 生存信じ、日本隊に期待
ニュージーランド地震の被災地クライストチャーチ市では、相次ぐ余震と降雨の影響で
、行方不明者の捜索が難航している。富山外国語専門学校の生徒をはじめ、住民や留学生、旅行者300人以上の安否が分からず、焦燥感は募るばかりだ。倒壊した家屋などに閉じ込められた場合、限界生存期間は72時間といわれる。日本の 国際緊急援助隊は政府専用機で現地に到着後、真っ先に富山外国語専門学校の生徒らが被災した語学学校に駆け付け、捜索を始めるだろう。そのころには発生から48時間近くが経過しているとみられる。残された時間は少ないが、救助活動で世界一の実績と経験を積んでいる日本隊への期待は大きい。生存を信じて、最後の24時間の救助活動に望みを託したい。 地元の警察当局によれば、語学学校周辺は、がれきが崩れ落ちる危険性があり、捜索活 動は23日、一時中断を余儀なくされた。現地の映像を見ると、6階建てのビルがほぼ全壊し、白煙を上げている。放水で火勢を抑えてはいるが、がれきの隙間に煙が入り込んでいないか、内部で火がくすぶっていないか心配は尽きない。 富山外国語専門学校の23人(教員2人、生徒21人)は地震発生当日、11人が倒壊 したビルから自力で脱出したり、救助された。多くの生徒が骨折などのけがを負った模様である。一夜明けた23日は、がれきの中から男子生徒1人が救出され、安否不明だった女子生徒1人の無事も確認された。 しかし、残る10人の安否が分かっておらず、同校以外から現地の語学学校へ通ってい る留学生ら十数人とも連絡が取れていない。このなかには、金沢市出身の19歳の女性や、かつて北國新聞の記者をしていた私たちの元同僚もいる。 23日の党首討論で、自民党の谷垣禎一総裁は、国際緊急援助隊の派遣が遅れたのでは ないかと指摘した。実際、オーストラリアや台湾の救助隊は日本隊より早く到着し、活動を開始しているという。救助活動は時間との勝負である。本当にもっと早く派遣できなかったのか、検証作業が必要だ。
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