心を忘れた情報は組織を破壊する
2011年02月22日12時22分
提供:ITmedia エンタープライズ
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隣席の同僚や後方座席の上司と直接言葉を交わさず、ほとんどメールでやり取りするなんて、今や常識だ。多くの職場では、もっともっと恐ろしいことが平然と起きている。
大手エレクトロニクスメーカーA事業所でのこと、そろそろ管理職定年(56才)を迎えるB課長が出張から帰りPCを立ち上げると、部長からメールが入っていた。「明日から課長職を外れてもらう。今後は部付きとする」。そのうち口頭で示達があると思っていたら、一切沙汰がない。後任への引継ぎ、今後の部付担当業務の内容や心構えなど、部長から本人へ話すことが山ほどあるはずなのに……。Bは自分の処遇をこのようにメール1本で処理されるほど、過去部長との関係が悪かったわけではないと言う。当然この出来事のうわさは広がり、従業員のモラールに影響する。しかし不思議なもので、この種のうわさは下に広がるが、上には行かない。従って、部長が本件で上から注意をされて反省する機会はまずない。
同メーカーのB事業所では、関係者が管理データをいつでもオンライン検索できた。例えば、業績に関するデータとして部署ごとの業績結果、そこに到る製品原価構成、原価低減状況、仕掛状況、作業効率などを、また営業受注案件に関するデータなら顧客状況、商談の状況、受注案件の進度状況などなどを検索できた。関係者は、必要な場合データを検索し、関係者とメールで連絡を取る。便利といえば便利だが、それが習い性になっているため、状況説明や、指示や依頼事項などの微妙な内容が、メールで伝わり切らない場合があっても、関係者は一向に気にする気配はなく、直接コミュニケーションを取ろうとする様子はあまりない。考えてみると、A・B事業所ともに根っこは同じ所にあるのかもしれない。
中堅情報機器メーカーC社で、定期職制変更と管理職人事異動があった。人事示達方法について過去トラブルがあったため、役員会で取り決めをしていた。人事が承認された日のうちに該当役員から当事者へ内示をし、翌日の各部門の朝礼で周知徹底をすることにしていた。しかし、今回の異動についてD取締役は配下の該当者に内示をし忘れた。異動の当事者たちは、翌日あちこちの朝礼で自分たちの名前が挙がっているのに驚き、2、3日後にDに伺いを立てた(即刻伺わないところが、これまた問題でもある)。Dは「あっ、忘れていた、すまん」の一言で、悪びれた風が全然ない。当事者の心情を全くくみとっていない。
C社でDのミスを「またか」という雰囲気で重視されないということは、C社に相当根深い情報障害があり、組織の機能不全や社員のモラール低下が恒常化している証と言える。
中堅の電気製品販社E社が、人事評価に成果主義を導入した。従業員全員に1年間の業務目標を上司と相談して作成させ、1年後に上司はその成果を当事者と確認し合って評価を決定するシステムである。しかし業務目標作成時も、最後の評価時も、ほとんどの部署で上司は部下との面談を一切しようとしない。社内のモラールは下がりっ放しだ。
情報は、「真の情報」でなければ成り立たない。形だけの情報がまかり通っている企業は、従業員のモラールが失われる。組織が体をなさず、やがて組織が破壊される。
真の情報であるための「条件」がある。
まず、「心」が伴わなければ情報ではない。例えば、前掲のA事業所の人事異動の場合、異動当事者に「事実」が流れただけ、C社の場合は「事実」さえ流れない。しかも、それを流す側も受け取る側も「事実」についての経緯、解釈、思い入れ、期待などなどが度外視されている。これでは、新人事、新組織の下でスムーズな業務が遂行できるわけがない。E社の場合も、管理者は部下の心をおもんぱかることもなく効率を考えるだけ、日頃の上下関係がうまく行かないし、業務にも支障をきたすだろう。B事業所の管理データについても、いくら詳細なデータだろうが、数字や簡易表現だけを見て関係者とやり取りしたのでは、それだけのこと。数字の裏にある苦労や困難や障害、あるいは達成感など心の機微を感じながら、報告や依頼や指示を出すのとは大違い。業務の進み方に差が出る。
大手エレクトロニクスメーカーA事業所でのこと、そろそろ管理職定年(56才)を迎えるB課長が出張から帰りPCを立ち上げると、部長からメールが入っていた。「明日から課長職を外れてもらう。今後は部付きとする」。そのうち口頭で示達があると思っていたら、一切沙汰がない。後任への引継ぎ、今後の部付担当業務の内容や心構えなど、部長から本人へ話すことが山ほどあるはずなのに……。Bは自分の処遇をこのようにメール1本で処理されるほど、過去部長との関係が悪かったわけではないと言う。当然この出来事のうわさは広がり、従業員のモラールに影響する。しかし不思議なもので、この種のうわさは下に広がるが、上には行かない。従って、部長が本件で上から注意をされて反省する機会はまずない。
同メーカーのB事業所では、関係者が管理データをいつでもオンライン検索できた。例えば、業績に関するデータとして部署ごとの業績結果、そこに到る製品原価構成、原価低減状況、仕掛状況、作業効率などを、また営業受注案件に関するデータなら顧客状況、商談の状況、受注案件の進度状況などなどを検索できた。関係者は、必要な場合データを検索し、関係者とメールで連絡を取る。便利といえば便利だが、それが習い性になっているため、状況説明や、指示や依頼事項などの微妙な内容が、メールで伝わり切らない場合があっても、関係者は一向に気にする気配はなく、直接コミュニケーションを取ろうとする様子はあまりない。考えてみると、A・B事業所ともに根っこは同じ所にあるのかもしれない。
中堅情報機器メーカーC社で、定期職制変更と管理職人事異動があった。人事示達方法について過去トラブルがあったため、役員会で取り決めをしていた。人事が承認された日のうちに該当役員から当事者へ内示をし、翌日の各部門の朝礼で周知徹底をすることにしていた。しかし、今回の異動についてD取締役は配下の該当者に内示をし忘れた。異動の当事者たちは、翌日あちこちの朝礼で自分たちの名前が挙がっているのに驚き、2、3日後にDに伺いを立てた(即刻伺わないところが、これまた問題でもある)。Dは「あっ、忘れていた、すまん」の一言で、悪びれた風が全然ない。当事者の心情を全くくみとっていない。
C社でDのミスを「またか」という雰囲気で重視されないということは、C社に相当根深い情報障害があり、組織の機能不全や社員のモラール低下が恒常化している証と言える。
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