2011年2月23日20時52分
日本に住むリビア人ら約80人が23日、東京都渋谷区のリビア大使館前でカダフィ体制に対する抗議デモをした。アラビア語、日本語、英語で交互に「リビアに自由を」などと叫んだあと、亡くなった犠牲者へ約1分間もくとうし、最後は全員でカダフィ大佐の写真を踏みつけた。
デモを呼びかけたのは都内在住リビア人のアーデル・スレイマンさん(23)。2006年8月に来日し、慶応大で学ぶ。中東で広がる民主化デモをニュースで見ながら、日本にいるリビア人の友人とツイッターで「次はリビアかもしれない」などと情報交換していた。リビアの反体制デモ隊に死傷者が出たのを知ると、これまで抱いていた不満が一気に高まった。「政権に近い人間だけに富が集中する祖国を変えたい。何より、同胞が殺されているのに黙っていられなかった」
ツイッター上でデモを呼びかけると、面識のない日本人やチュニジア人からも「ぜひ、参加したい」「警察には事前に届け出が必要だよ」などと反応が広がった。福岡市から来た高校3年生の重光優作さん(18)は「行ったことのない国だけど、自分にも何かできないかと思って来た」。都内に住むモロッコ人のエルバダウィ・ヤシンさん(25)は「アラブはみな兄弟。自分の家族に同じことが起きてほしくないから」と熱っぽく語った。
26日午後4時からも、東京・代々木公園でデモを予定している。スレイマンさんは「その時には虐殺行為が終わり、民主化の希望が見えた『喜びを表現するデモ』をしたい」と話した。(清水大輔)
中東に駐在し、日々、中東の動きに接する川上編集委員が、めまぐるしく移り変わる中東情勢の複雑な背景を解きほぐし、今後の展望を踏まえつつ解説します。エジプトからの緊急報告も。