ハナロ放射能漏れ:事故原因の円筒、安全点検行わず

原子力研究院、円筒のトラブルを想定せず

 今月20日、大田市にある韓国原子力研究院の研究用原子炉「ハナロ」で発生した放射線漏れ事故の原因となったアルミニウム製の円筒について、2008年12月に設置された後、安全点検が一度も行われていなかったことが、21日明らかになった。この円筒は、原子力研究院が定めた安全点検の対象から除外されていた。

 問題の円筒は高さが30センチ、直径は20センチで、「ハナロ」の内部にある巨大な水槽に設置されている。「ハナロ」の中にシリコンの塊を投入し、放射線を照射して、高出力半導体を製造する際、受け台として使用するもので、同研究院が設計・製作した。この円筒は本来、水面下13メートルのところに固定されていなければならない。ところが事故当時、円筒が固定装置から外れ、水面上に浮き上がり、放射線漏れ事故を起こした。

 同研究院の関係者は「問題の円筒は、原子炉の運転や安全確保のため、中核的な役割を担う装置ではないことから、原子炉安全系統には分類されていない。そのため特に安全点検を行うこともなかった」と説明した。原子炉安全系統に分類された部品は毎日1回、または1カ月、2年、もしくは10年に1回ごとに定期点検が義務付けられている。

 同関係者は「設計上、問題の円筒が固定装置から外れることはあり得ないため、水面上に浮き上がるというトラブルを想像すらしていなかった。この円筒よりも古く、2003年初めから同じ用途で使用してきた小型円筒でも、これまで一度も問題を起こしたことはない」と語った。この小型円筒も同じく、約8年もの間、安全点検を受けたことはなかった。このため、同研究院側が作成した緊急時対応マニュアルには、放射能に汚染された円筒が水面上に浮き上がるという事態に対する対処要領は定められておらず、非常事態警報(3段階)の第1段階「白」(放射線濃度が一定の数値を超え、15分以上続き、かつ放射能汚染の範囲が原子炉が稼動する施設の内部に限られた場合に発令)を発令するか否かをめぐって右往左往した末、事故発生から1時間24分が経過した時点で、ようやく同警報を発令するに至ったということだ。

李吉星(イ・ギルソン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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