2011年2月4日 13時23分
犯罪捜査のために電話やメールなどの傍受を認めた「通信傍受法」の施行から10年で、全国の警察が傍受を実施した事件は57件で、その結果、247人が逮捕されたことが、警察庁のまとめで分かった。同庁は「通信傍受が犯罪捜査の一つの手法として定着しつつある」と分析している。
同庁のまとめでは、施行された00年8月から傍受が実施された事件数と逮捕者は、00~01年0件0人▽02年2件8人▽03年2件18人▽04年4件17人▽05年5件20人▽06年9件31人▽07年7件39人▽08年11件34人▽09年7件33人▽10年10件47人。傍受されたのはすべて携帯電話の音声通話で、メールやファクスはなかった。
57件のうち、50件は薬物密売・密輸事件で、拳銃所持等が4件、組織的殺人が3件だった。回線ごとに傍受令状を請求するため、裁判所に請求された令状は134件で、すべて発付された。また、昨年実施した10件の傍受のうち、最も期間が長かったのは23日、最短は1日だった。【合田月美】
【ことば】通信傍受法 組織的犯罪の解明のため、薬物▽銃器▽組織的殺人▽集団密航の4類型について、通常の捜査手法では犯人特定が難しい場合に限り、裁判官の令状に基づいて通話の傍受やメール閲覧などができると規定。傍受令状の請求には「犯罪(未遂罪も含む)が行われた」と疑うに足りる「十分な理由」が必要で、逮捕状以上に高いハードルが設けられている。運用状況は毎年、国会に報告される。