新燃岳:「1、2週間、爆発的噴火繰り返す」予知連が見解

2011年2月3日 20時51分 更新:2月3日 21時58分

新燃岳の噴火について会見する火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長(中央)。左は石原和弘副会長、右は気象庁地震火山部の山里平火山課長=東京都千代田区で2011年2月3日午後5時18分、西本勝撮影
新燃岳の噴火について会見する火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長(中央)。左は石原和弘副会長、右は気象庁地震火山部の山里平火山課長=東京都千代田区で2011年2月3日午後5時18分、西本勝撮影

 活発な噴火活動が続く霧島山系・新燃岳(しんもえだけ)(1421メートル)について、火山噴火予知連絡会(会長、藤井敏嗣・東大名誉教授)は3日、気象庁で臨時の拡大幹事会を開催。今後の活動について「1、2週間程度は現在と同程度の溶岩を吹き飛ばす爆発的噴火を繰り返すと考えられる」という見解をまとめ、長期的な見通しは不明とした。活動の判断材料になる地下のマグマの様子を分析するため、地震計や傾斜計などの観測体制を強化する。

 藤井会長は、短期的見通しの根拠として、地下にあるマグマの減少を示す山の収縮が、先月31日から急に鈍化した点を指摘。一方で噴火活動は収まらず、「下から(噴火に)見あうマグマの供給が続いているのではないか」と説明。その上で、今後2週間程度に起こり得る噴火の規模について「(先月)26、27日のような大きなマグマを出すものは想定していない」と話した。

 新燃岳は現在、溶岩(地表に出たマグマ)が火口の蓋(ふた)をしている状態。この蓋ごと吹き飛ばすような大規模な噴火で、火砕流を起こす可能性も懸念されているが、藤井会長は「ある程度(山の)隆起が戻ってからだと思う。現状ではそれは数週間、1カ月間は可能性が低いだろう」と指摘。26日以降、気象庁が「噴火警戒レベル3」を維持していることについては「予知連が決めることではないが、事態は変わっていない。これでいいと思う」と話した。

 予知連の臨時拡大幹事会は、三宅島の噴火活動について検討した04年12月以来。【八田浩輔】

 ◇呼称「溶岩」に

 予知連は3日の会議で、新燃岳の火口(直径700メートル、深さ200メートルのすり鉢状)を覆っている「溶岩ドーム」を「溶岩」と呼ぶことで統一した。

 溶岩ドームは粘性の高い溶岩が横に流れずにおわんを逆さにしたような形でとどまる現象だが、新燃岳では横に流れてぼたもちのような高低差の少ない状態にあるため。

 国土地理院の観測では、火口を覆う溶岩の規模は直径約600メートル、高さは最大約110メートルとみられている。

 ◇ことば 火山噴火予知連絡会

 政府の火山噴火予知計画に基づき、74年に設置。火山学者や気象庁など関係組織の専門家で構成する。年3回定例会を開き、全国の観測機関から集まったデータを基に、火山活動を総合的に検討する。噴火などの非常時には臨時の幹事会を開き、必要な場合は統一見解を出す。

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