チュニジア:検察当局 前大統領の不正蓄財、捜査を開始

2011年1月20日 19時44分 更新:1月20日 21時42分

亡命先のフランスからチュニジアに帰国し、支持者に囲まれる野党指導者のモンセフ・マルズーキ氏=2011年1月19日、AP
亡命先のフランスからチュニジアに帰国し、支持者に囲まれる野党指導者のモンセフ・マルズーキ氏=2011年1月19日、AP

 【チュニス和田浩明】チュニジアの検察当局は19日、ベンアリ前大統領や親族の不正蓄財の捜査を開始した。観光業や不動産開発、銀行などを所有する一族の強欲ぶりと不正は、政権崩壊前から国民の怨嗟(えんさ)の的で、ベンアリ氏の事実上の亡命をもたらした全国的な反政府デモでも厳しく批判されていた。

 国営TAP通信によると、捜査対象は、ベンアリ氏とレイラ夫人、夫人の弟のベルハッサン・トラベルシ氏ら。所有不動産や株式投資、海外の銀行口座などについて、不正行為がなかったか調べる。トラベルシ氏は政権崩壊後に国外逃亡を図って当局に拘束され、首都チュニス郊外の邸宅は腐敗に怒る国民に略奪された。

 大統領一族、特に夫人の親族の不正蓄財疑惑は、内部告発サイト「ウィキリークス」が暴露した「チュニジアの腐敗:お前の物は俺の物」と題された米公電(08年6月)でも詳述されている。昨年12月に公表されたもので、一族が「マフィアまがい」とまで酷評されていると指摘、政権崩壊の引き金の一つになったとも言われる。

 政府は19日、刑期6カ月以下の一般犯罪での受刑者1800人を全国で釈放しており、国民の批判をかわすのに躍起だ。

 ベンアリ氏の側近だったガンヌーシ首相など旧政権の閣僚が多数残留した新政権に対する反発は根強く、19日も首都チュニスや主要都市で抗議デモが行われたが、治安部隊との大規模な衝突は報じられていない。

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