チュニジア:与党が前大統領と側近除名 野党批判回避狙う

2011年1月19日 21時10分 更新:1月19日 23時21分

 【チュニス和田浩明】チュニジアのベンアリ前大統領の23年余り続いた独裁政権が、わずか数日の間に崩壊した政変の内幕が徐々に明らかになってきた。陸軍トップが引導を渡したとの報道や、側近のうそがきっかけで辞任に追い込まれたとの説が浮上している。一方、新政権に不満を抱く民衆らは19日、首都チュニスで数千人規模のデモを行った。

 中東の衛星テレビ「アルアラビーヤ」は、政権崩壊の内幕について、治安担当トップのアリ・セリア氏が「大統領公邸が襲撃される」と虚偽の進言をしたことで、ベンアリ氏があわてて避難したと報じた。ベンアリ氏はテレビ出演で沈静化を呼びかけるなどしており、辞任するつもりはなかったとの見方を紹介している。

 18日に野党系の4閣僚が辞任したことを受け与党・立憲民主連合(RCD)を離党したガンヌーシ首相は、19日中に野党勢力も巻き込んだ閣議を開き、事態打開をはかる。野党内には、首相らの離党を評価する声もあり、政権への復帰が議論されている。

 一方、エジプトの首都カイロで18日、2日続いて人民議会前で焼身自殺を図る未遂事件があり、北部アレクサンドリアでも同日、男性(25)が焼身自殺した。チュニジア政権崩壊の契機となった焼身自殺事件に触発された可能性がある。イエメンでは首都サヌアのサヌア大で同日、チュニジア政変に影響された学生ら数百人のデモ隊が20年以上続くサレハ政権打倒を訴え、警官隊と衝突した。

 こうした余波拡大を懸念した動きがチュニジア国外で加速している。オバマ米大統領は18日、エジプトのムバラク大統領と電話協議し、自由で公正な選挙の早期実施を暫定政権に求める必要性で一致した。また国連の潘基文(バンキムン)事務総長も同日、「(野党も含めた)包括的な暫定政権樹立のため、幅広い協議を行うことを求める」との声明を発表した。

 ロイター通信などによると、スイス政府は19日、同国内のベンアリ氏と側近の口座凍結を決めたと発表した。

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