2011年1月19日 20時26分 更新:1月19日 20時55分
経営再建中の日本航空を昨年末に整理解雇されたパイロットと客室乗務員165人のうち146人が19日、解雇は無効などとして、会社側に地位確認と賃金支払いを求め東京地裁に提訴した。日航が会社更生法の適用を申請してからこの日でちょうど1年。景気低迷が続く中、大企業の人員整理の在り方を巡る判断が注目される。
提訴したのはパイロット74人と客室乗務員72人。訴状によると、日航は営業利益が計画を大幅に上回るなどしているのに、客観性のない人員削減目標を設定。ワークシェアリングなどの解雇回避措置も尽くさないまま整理解雇を強行したとしている。さらに、白紙の業務スケジュールを対象者に示すなど手続きにも問題があったと指摘。解雇は、必要性▽回避努力義務▽対象選定基準の合理性▽手続きの妥当性--の4要件のいずれも満たしていないとした。
原告は、ほとんどが会社側と対立する「日本航空乗員組合」と「日本航空キャビンクルーユニオン」(CCU)の組合員。この日は、制服姿の乗員組合員とオレンジのスカーフを巻いたCCUのメンバーが、地裁周辺でビラを配布し、集会を開いた。
乗員組合の宇賀地竜哉委員長は「4要件はいかなる状況でも厳格に適用されることを、きちんと訴えることが社会の利益」と強調。CCU原告団長の内田妙子さん(57)は「これまで何度も放漫経営の問題点を指摘してきたが、会社は改めなかった。『社員も甘えている』という社会の誤解を取り除きたい」と訴えた。【本多健】
日航広報部の話 会社更生計画の実現・完遂のためには確実な人員規模の適正化が必須。希望退職などあらゆる策を講じたが、更なる対応が困難になり、やむを得ず整理解雇を実施した。対象者の処遇や条件などは希望退職で去られた方とほぼ同等で、理解を得られず非常に残念。