2011年1月19日 11時22分 更新:1月19日 13時9分
日本経団連の米倉弘昌会長と連合の古賀伸明会長による労使トップ会談が19日、東京都内の経団連会館で開かれ、11年春闘が事実上スタートした。連合は、年齢などに応じて賃金が上がる定期昇給(定昇)を確保した上で、諸手当や一時金を含む給与総額で「1%引き上げ」を要求。経団連も定昇維持は容認しているが、景気見通しが不透明として「1%引き上げ」には難色を示しており、3月16日の経営側の集中回答日に向け、一時金の上積みなどを巡る攻防が激しくなりそうだ。【宮崎泰宏、市川明代】
経団連の米倉会長は会談の冒頭、「円高にデフレ、グローバル競争の激化で厳しい事業環境が続いている。労使一丸となった取り組みが必要」と表明。経営側は昨年より企業業績は回復しているため、昨年の春闘よりは姿勢を和らげているが、米倉会長は「雇用安定を最優先とする基本的考えは労使で共有していると確信している」と賃上げより雇用が優先との考えを強調し、組合側をけん制した。
連合の古賀会長は「労働者への積極的な配分で消費を増やすことが持続的な経済成長につながる」と主張し、給与総額の引き上げを求めた。連合は、09年の一般労働者の賃金がピークだった97年に比べて5.1%減少しているため、「減少分を1%ずつ5年かけて復元する」ことを目指している。賃金水準を底上げするベースアップ(ベア)の統一要求は昨年に続いて見送っている。
連合は昨年に続いて非正規労働者の待遇改善も要求。古賀会長は「(非正規労働者の)生活を健全な状態とすることが基本」と、時間給ベースで正規労働者を上回る賃金の引き上げなどを訴えた。
春闘は、自動車、電機大手の単組が2月中旬に経営側に要求を提出し、3月16日の集中回答日に向けて交渉が本格化する見通しだ。