2010年12月31日 2時30分
インフルエンザの流行が本格化している。特に昨年、世界的に大流行した新型インフルエンザが急増し、今季主流を占めていた季節性のA香港型と割合が逆転した。日本感染症学会など関連する学会は早期診断、早期治療の徹底を呼びかけている。
国立感染症研究所(感染研)によると、今シーズン国内各地で検出されたウイルスはA香港型が7割近く、新型が3割弱、残りがB型。だが、流行入りした最新の1週間(12月13~19日)に新型はA香港型の約3倍と逆転し、12月6~26日の3週間の速報値(28日現在)では新型が182件でA香港型の71件を大幅に超えた。
新型は、感染から4~5日後に急激に呼吸状態が悪化し死亡する例がある。肺で増殖しやすい性質のため、鼻やのどの粘膜をとって調べる簡易検査では陰性となるケースが多い。
厚生労働省は昨シーズン、症状がある患者全員に詳細な遺伝子検査を実施するよう通知していた。だが、今シーズンは通知内容が変わり、簡易検査で陽性となり、さらに集団感染などの例に限って遺伝子検査を行うよう求めている。
日本呼吸療法医学会の竹田晋浩・日本医科大准教授は「治療の遅れは致命的になる。遺伝子検査による確定診断があれば投薬などの処置が全く異なる。保健所は積極的に遺伝子検査をしてほしい」と要望する。
また、感染研の調査によると、12月16日現在、新型に対する免疫の保有率は10~19歳の若年層が65%と高い一方、25~49歳は30~39%、0~4歳と50歳以上は13~24%と低く、従来の季節性とは異なる傾向がある。日本感染症学会は今シーズンのインフルエンザ対策として「季節性と新型がともに流行することで幅広い年齢層で注意が必要」と指摘している。【関東晋慈】