2010年12月30日 19時17分 更新:12月30日 19時42分
【北京・浦松丈二】中国政府は30日、中国国内のインターネット利用者が前年比20.3%増の4億5000万人(11月末現在)に達したと発表した。全人口に占める普及率も33.9%と世界平均の約30%を超えた。一方、急速な普及に対応するため、政府によるネット世論の「誘導」を強化していく方針を確認した。
中国国務院(政府)新聞弁公室の王晨主任(閣僚級)はこの日の会見で「ネット世論の誘導を強化し、健全で秩序のあるネット環境を整備する」と言明。世論誘導とは、政府の影響下にある国内メディアなどを通じて行われる世論対策といわれる。
また、中国当局は年初から11月末までに、ネット上に流れていたポルノ・低俗情報3億5000万本を整理▽ポルノサイト6万以上を閉鎖▽刑事事件2197件・容疑者4965人を摘発した。
中国当局はノーベル平和賞を受賞した中国人作家、劉暁波氏の文章など政府批判につながる情報をネット上から削除しているが、発表された件数には、政府批判と判断されて削除、閉鎖された件数は含まれていない模様だ。
中国のネット人口は08年に米国を抜いて世界一になったが、その後も簡易ブログ「ツイッター」など新しい人気サービスを規制しているほか、台湾やチベット問題などで中国当局と異なる立場を紹介したウェブサイトはつながらない状態だ。
一方、急増するネット利用者の間では、人気サービスが利用できないことへの不満が高まっている。これに対し、中国当局は政府管理を受け入れる国内向けの代替サービスを開発し、米国などからの「ネットの自由」要求が国内で広く支持されないよう細心の注意を払っている。