2010年12月29日 20時24分 更新:12月29日 23時25分
【ソウル西脇真一】韓国で家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)が全土へ広がる勢いを見せており、韓国政府は29日、家畜疾病危機警報を最高の「深刻」に格上げし、対策本部を設置した。事実上の非常事態に相当する。これまでに豚や牛など約47万頭が殺処分された。
11月に東部の慶尚北道安東(キョンサンプクドアンドン)市の農場で初めて豚の感染が確認され、その後、約200キロ離れた北西部の京畿道(キョンギド)や北東部の江原道(カンウォンド)に拡大。28日には中部・忠清北道(チュンチョンプクド)でも確認され、これまで4道と仁川市の5広域自治体の29市郡で発生した。政府は畜産関係車両の移動が拡大の原因とみている。
政府は25日からワクチン接種を開始。消毒と殺処分の3本立て対策で臨んでいるが、終息までの期間や被害規模が過去最大となるのは確実だ。政府はワクチン接種対象地域を広げるなどしているが、「当局の防疫対処能力が限界に来ているのではないか」(聯合ニュース)との指摘も出ている。
対策本部によると、国内で豚は1000万頭、牛は340万頭を飼育。殺処分は全体の3.4%で牛・豚肉価格にまだ大きな変動はない。しかし、このままでは旧正月(来年2月3日)の贈答品としても人気のある「韓牛」価格が高騰するとの分析も出ている。
一方、日本の非政府組織(NGO)「救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク」(RENK)代表の李英和(リ・ヨンファ)関西大教授に入った情報によると、北朝鮮でも口蹄疫が発生しているという。協力者の話では、1週間ほど前、平壌東部の江東郡九賓里にある畜産団地で発生し、家畜が死んでいるという。