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[国際]ニュース トピック:産経抄
【産経抄】2月22日
2011.2.22 02:44
「『ジャスミンね』といいながら彼女は把手(とって)のある茶碗(ちゃわん)の蓋を持ち上げた。『ホテルの売店で買ったものですから、大したことありません』 李杏は、自然で上品なしぐさで蓋のしずくを切って、ゆっくり啜(すす)る。いいひびきだ、と彬彦はため息をついておもう」。
▼辻原登さんの長編小説『ジャスミン』(文春文庫)は、上海と神戸、天安門事件と阪神大震災を背景にした、雄大なスケールの恋愛小説だ。中国貿易の商社に15年勤めた経験を持つ辻原さんは、ジャスミン茶通らしい。要所要所でストーリーを引っ張る、重要な小道具となっている。
▼20日、北京や上海など中国の13の都市で、一党独裁に反対する集会やデモを開催するよう、インターネット上で呼びかけが行われた。「中国版ジャスミン革命」を起こそうとの、訴えもある。民衆によるデモが政権崩壊に結びついた、チュニジアの「ジャスミン革命」に倣おうというのだ。
▼世界中に200種近くあるジャスミンは、チュニジアを代表する花だという。ジャスミン茶なら中国が本場、との思いもにじむ。結局、公安当局の徹底的な取り締まりによって、大規模な集会の開催はなかった。
▼連行や外出制限を受けた民主活動家は、1000人を超えたとの情報もある。ただ、呼びかけは今後も続くもようだ。経済格差の拡大など庶民の不満の強まりと相まって、民主化運動が活発化する可能性が出てきた。
▼「この国で民主主義なんて茶番ですよ。もっと悲惨なことになる」。中国の公安当局者が『ジャスミン』のなかでうそぶいていた。果たしてそうなのか。上野動物園で、2頭のパンダと対面するのも待ち遠しいが、中国情勢からも目が離せない。
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