symfony で Web API を実装するときのポイントいくつか
最近はまんぐうん家にいます。 nagata (@handlename) です。
FlashやJSと連携する際には、APIを実装することになりますが、 今回は「こんなことやると実装が楽になるよ!」という小技をいくつか紹介します。
- ※本記事ではレスポンスの形式としてJSONを使った場合を例として用いています。
- ※アプリ名を「api」、モジュール名を「kayac」として説明します。
- symfonyのバージョンは1.4です。
APIのレスポンスを返すための準備
symfonyのレスポンス、そのままではレイアウトが適用されてしまいます。 HTML形式で表示されるわけですね。
APIのレスポンスとして使う場合、こんなんじゃやってられません。 view.yml でレスポンスの形式を設定してしまいましょう。
apps/api/config/view.yml
has_layoutをfalseにすることによって、レイアウトを無効にできます。 具体的には、 /apps/api/templates/layout.php を通さずに、 テンプレートが出力するものをそのまま表示するようになるわけです。
レスポンス用のテンプレートを統一
プロジェクトによってはたくさんの種類のAPIを用意しなければいけなくなることがあります (この前担当した案件では、最終的に60種類ほど用意しました)。
たくさんあるAPIそれぞれにいちいちテンプレートを用意するのは何とも面倒です。 加えて、APIのレスポンス形式はひとつのプロジェクト中で統一されていると思います。
ならばそのテンプレート、ひとつにまとめてしまいましょう!
アクション内でテンプレートを変更する
アクション内でテンプレートを変更する場合、setTemplate メソッドを使えばOKです。
apps/api/modules/kayac/actions/actions.class.php
sharedモジュールのjsonSuccessテンプレートで表示されます。
テンプレートの変更も1カ所で
実際には個々のアクション内で定義せずに、すべてのAPIアクションが継承するクラスを定義して、 そのクラスの postExecute でテンプレートの設定をするといいでしょう。
apps/api/lib/myApiActions.class.php
テンプレートにも一工夫
APIレスポンスのチェックは結構しんどいものです。 ばっちりテストを書いていればなにも問題ないですが、 ちょっと実行して目視で確認したいときもあるはず。
レスポンスを読みやすいように整形しておけば万事解決です。 今回はレスポンスをJSON場合の例を紹介します。
JSON整形用のヘルパーを用意する
テンプレート内でごにょごにょやってもいいのですが、 せっかくなのでヘルパーを有効利用してみます。
なお、MyJSONHelper中のjson_format関数はPHP ManualのNotesより引用させていただきました。
lib/helper/MyJSONHelper.php
ヘルパーを使って表示!
テンプレート内ではこんな風に使います。 設定ファイル内で
- JSONを整形するか (app_json_pretty_print)
- マルチバイト文字をエスケープしないか (app_json_allow_multibyte)
を設定しています。 後述する environment.yml にこの設定を書くことによって、 テスト環境と本番環境でスムーズに出力を切り替えることができます。
app/api/modules/shared/jsonSuccess.php
これでこんなJSONの出力が、
{"name":"\u682a\u5f0f\u4f1a\u793e\u30ab\u30e4\u30c3\u30af","address":"\u3012248-0006 \u795e\u5948\u5ddd\u770c\u938c\u5009\u5e02\u5c0f\u753a2-14-7 \u304b\u307e\u304f\u3089\u6625\u79cb\u30b9\u30af\u30a8\u30a22\u968e","status":200}
こんな風に整形されて出力されます。見やすい!
{ "name": "株式会社カヤック", "address": "〒248-0006 神奈川県鎌倉市小町2-14-7 かまくら春秋スクエア2階", }
エラー時のレスポンスを一元化
エラー時のレスポンスもまとめてしまいましょう。
エラー用のレスポンスメソッドを用意
先ほどの myApiActions クラスにこんなメソッドを定義してみました。
- エラー時のステータスコードと、エラーメッセージを受け取る
- レスポンスにはステータスコードを返す
- エラーメッセージをログに残す
- エラー用のテンプレートに遷移する
メソッド名はsymfonyの forward 、 fowardIf 、 fowardUnless に倣ってます。
apps/api/lib/myApiActions.class.php
エラー用のアクションを用意します。 (これを用意しないですむ方法がありそうなんですが…)
apps/api/modules/shared/actions/actions.class.php
使ってみる
使う場合はこんな感じになります。
apps/api/modules/kayac/actions/actions.class.php
実行環境毎に異なる設定ファイルを使用する
最後は環境毎に用意する設定ファイルについてです。 API実装に限らず、広く使える便利な設定ファイルです。 設定ファイル名は何でもいいのですが、習慣として environment.yml としているようです。
environment.yml を使うための設定
設定箇所は全部で3カ所あります。
apps/api/config/filters.yml
lib/filterにmyEnvironmentConfigFilter.php
このファイルははじめからは用意されていないので、新規作成します。
config/config_handlers.yml
プレフィックスの設定を追記します。
これで config/environment.yml が使えるようになりました。 リポジトリに放り込む際には、 database.yml などのように environment.yml.base をつくり、 environment.yml そのものは各環境毎に用意するようにします。
environment.yml を使う
config/config_handlers.yml でプレフィックスに app_ を設定したので、 app.yml に書かれた設定と同様の書き方で使用することができます。
config/environment.yml
all: kayac: name: '株式会社カヤック'
設定を読み出す場合。
sfConfig::get('app_kayac_name'); // => 株式会社カヤック
ここで重要なポイント。 environment.ymlで定義された設定は、app.ymlを上書きします 。
たとえば、 app.yml と environment.yml にこんな設定が書かれていた場合、
app.yml
all: filename: 'app.yml'
environment.yml
all: filename: 'environment.yml'
設定を読み込むと…
echo sfConfige::get('app_filename'); // => environment.yml
テスト環境でだけ変更したい設定項目がある場合には非常に便利です。
おわり
ほかにもいろいろ方法はあると思います。 いろいろ試行錯誤してより便利な方法を編み出していきたいと思います。