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長引く不況。
この春、卒業予定の大学生の就職内定率は過去最低の68.8パーセントを記録。
いつ終わるともしれない就職活動には悲壮感すら漂います。
<日本人男子学生>
「全然うまくいかなくて」
<日本人女子学生>
「100社近くは受けています」
しかし・・・
<中国人女子学生>
「日本の方もやさしいし、ここで暮らしたい」
「やる気まんまん!」
先週末、大阪で行われた外国人留学生を対象にした企業説明会は、不況を吹き飛ばすかのような熱気です。

企業から特に熱い視線が送られるのは、留学生の6割を占める中国人たち。
<大手商社担当者>
「是非採用したい」
<大手メーカー担当者>
「どんどん積極的に採用していきたい」
就職戦線に異状アリ?!
日本の雇用に波紋を拡げるチャイナパワーとは・・・
厳しい雇用環境の中、なぜ今多くの日本企業が中国人学生の採用に積極的なのか・・
今年、500人の中国人を採用する大手電機メーカーは・・・
<パナソニック グローバル採用チーム 柿花健太郎チームリーダー>
「中国の大陸でがんばってきて、国境を越えて日本でやろうと言う人はそれだけのマインド、志を強く持っている」
トップが外国人の大手自動車メーカーも・・・
<日産自動車中国事業部 山内一平さん>
「最初から目的意識をもって2つの言語を使って、さらに特別な専門分野を持っている」
内向き志向といわれ日本人の留学生が減少する一方、中国人の海外志向は強く、企業側は日本人にない積極性を評価しているようです。
<中国人女子留学生(龍谷大生)>
「私の強みは気が強いこと、どこでもチャレンジすることが好き」
<中国人女子留学生(立命館大大学院生)>
「わたし勉強力に自信があります。大学院で資金調達を研究しているので、できれば金融業界を目指したい」
大阪府立大学大学院に通う馬剣飛さん(25)も日本での就職を希望しています。

来日6年、家賃5万8,000円の部屋をシェア。
仕送りと奨学金を頼りに勉強に励んできました。
<馬さん>
「毎日1時、2時くらいから夜の7時、8時くらいまで勉強。フランス語、英語、中国語、日本語しゃべれる」
身長190センチ、高校時代バスケットで活躍し大学のスポーツ推薦も決まっていましたが、中国では体育会系だけでは良い仕事につけないと留学を決意。
交換留学生としてフランスにも留学し、国際感覚を磨きました。
<馬さん>
「(中国の就職は)競争が激しいし、経験の無い人はあまり採用されない。せっかく6年も頑張って日本にいたから、ここで結果を出したいですね」
付き合って8か月、同じ留学生の彼女も馬さんの日本での就職を願っています。
<馬さんの彼女 王羽さん(大阪府立大学)>
「馬さんが卒業してすぐ国に帰ったら私一人になりますから、日本の企業に就職してほしい」
そんな中、ついに新入社員全てが中国人という会社まで!!
<八十島プロシード株式会社 中国人男子学生>
「正直なりたいです」
<記者>
「えっ?」
<中国人学生>
「この会社の社長になりたいです」
<日本語学校の授業で生徒たちが日本語朗読>
「でも先生はヤンさんによく作文を書かせます…」
日本語の勉強をしているのは、今年、日本の大手企業の内定を勝ち取った中国のエリート大学生です。
グローバル化で日本の雇用を変えつつある中国人。
そんな彼らをターゲットにしたビジネスも始まっています。
<リンク&モチベーション執行役員 染谷剛史さん>
「日本の大学は1学年で就活するのは50万人、中国は610万人、全然ボリュームは違う。(トップ層は)ずば抜けて頭脳が良い学生が集まってきています」
企業の採用活動をプロモートするこの会社では、中国トップレベルの北京大学や清華大学の学生およそ1万人を面接で絞り込み、最終面接前までサポートします。
<面接する北京大学生>
「成績はとても優秀です、常にトップ3に入っています」
去年末までに、東証一部上場企業など54人を斡旋しました。
<リンク&モチベーション執行役員 染谷剛史さん>
「中国のエリート大学生の採用枠が増えると、必然的に日本学生の採用枠が減るからピンチかな」
中国人の採用は大手企業にとどまりません。
<八十島プロシード株式会社 清水資生常務>
「彼らが2人が採用になっています」
大阪市に本社がある年商30億、従業員120人の工作機械部品メーカー。
プラスチックを削り出す特殊技術を持つこの会社では、今年内定した大卒の新入社員6人全てが中国人留学生でした。
すでに滋賀県の工場で研修を始めています。
<王洪宇さん(立命館大学大学院)>
「就活は恋みたいな感じで、縁もあるけど、この会社にむいていると思った」
(Q.出世する自信は?)
「あります!」

<郭鵬さん(滋賀大学大学院)>
「中国人と日本人の区別ないです、みんな同じです。能力ある人が採用される」
給与など待遇も日本人と同じ。
営業職として将来中国に進出した際、力を発揮することを期待されています。
<八十島プロシード株式会社 清水資生常務>
「中国人と日本人を区別したわけではないが、結果として我々が要望するような人材を選定すると結果、中国人6人になった。(日本人学生は)最初から大手と比較していて、あまり意欲を見せようとは思わない、でも中国の人たちは自分たちの能力を発揮できる場所ならどこへでも行きたい」
中国人留学生たちは、就職活動で勝負するためのノウハウも学んでいます。
大阪府立大学の馬さんも対策に余念がありません。
人間性重視の日本企業は、中国より面接回数が多いといいます。
この日は講師を相手に練習です。
<中国人女子学生>
「私の自己PRは3つのSです。スマート、スピード、スマイルです」

<ロジックアンドサプライズ 大隅要さん>
「動物にたとえるとなんですか?」
<中国人女子学生>
「私は豚が一番いいと思います。(豚は)上から下まで全部食べられます。(豚のような)何でも役に立つに人になりたいと思います」
馬さんも面接にはまだ慣れていないようです。
<馬さん>
「はじめまして。私は大阪府立大学にきている中国人留学生です…」
<ロジックアンドサプライズ 大隅要さん>
「入ってきたときに勝手に座りすぎやね。みんな来るまで立っていることをおすすめします・・・」
グローバル採用元年とも言われる今年の就職戦線。
これから中国人たちは、日本人と同じ舞台で自らを積極的に売り込んでいきます。
<馬さん>
「(どの企業も)グローバル進出していることをアピールしているので、かなり留学生にとって良いチャンスだと思う」
(Q.勝ち抜く自信は?)
「あります! 最後まで勝ち抜きます」
グローバル化で中国人が席巻し始めた日本の就活。
彼らは日本企業を今後どのように変えていくのでしょうか…
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