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きょうの社説 2011年2月23日
◎進む地方の無人化 北陸も自立促進策が急務
国土交通省の国土審議会長期展望委員会の推計によると、現在の過疎・少子化傾向が続
くと、2005年に人が住んでいた国土のうち約20%の地域が2050年までに無人になるという。富山、石川、福井の北陸圏では15%の区域で住民がいなくなるという推計結果は、地方の人口減少と過疎化の進行に歯止めをかけ、自立・定住を図る政策が、まさに待ったなしであることをあらためて示している。昨年4月には新しい過疎地域自立促進特別措置法(過疎法)が施行され、北陸を含む同 法対象の市町村で、今年度から15年度までの新過疎地域自立促進計画が動き出している。政府はさらに、地方圏から三大都市圏への人口流出を食い止め、地域主権型の地域づくりを進める「定住自立圏構想」を打ち出しているが、これらの着実な実行はもとより、自治体や経済人から提案されている企業の地方移転を国の政策として本格的に検討するときではないか。 国土審議会の報告では、過疎地域の人口減少率は平均で61%(全国平均26%)にも なるという。昨年3月で期限切れの過疎法をさらに6年間延長したのは妥当な措置であり、引き続き過疎債で社会資本整備ができることは、北陸など過疎地を抱える自治体にとってありがたいことである。 地方の中心市と周辺市町村が連携して定住自立圏を形成する構想も、各地で実行に移さ れている。ただ、その効果は未知数であり、過疎法の対策も決め手とはなり難い。石川、福井など11県の知事が昨年、企業の地方分散により大都市の過密化と少子化を改善する案を提言したのは、既存の過疎対策の効果を踏まえたものでもある。 本社機能・工場の地方移転は、大都市の過密解消と地方活性化に有効であり、地方の良 好な子育て環境を社員に提供することで、少子化の改善も期待できる。そのために、法人税や法人住民税を減免するという提案は、金沢経済同友会も早くから行っており、コマツの坂根正弘会長などは国づくり政策として、大企業の地方移転を積極的に提言している。政府も真剣に検討してもらいたい。
◎小沢氏党員停止に 求心力低下は免れない
民主党の常任幹事会で強制起訴された小沢一郎元代表への処分が、「党員資格停止」に
決まった。代表まで務めた党の「顔」が刑事被告人となり、首相(党代表)からの離党要請を拒否した以上、処分は避けられない。「刑事被告人には推定無罪の原則がある」として、処分は必要ないとの声も聞かれるが、推定無罪の原則と政治責任は全く別問題であり、政党として一定のけじめをつけるのは当然だ。原則として最長6カ月の党員資格停止期間が「判決確定までの間」とされたのは、小沢 氏には大きな誤算だったろう。資格停止中は代表選への立候補資格を失い、衆院解散・総選挙があっても公認されない可能性もあるからだ。68歳の小沢氏にとって復権の日は遠く、一層の求心力低下は免れない。 小沢氏は党倫理委員会に提出した弁明書で、「検察審査会による起訴を通常の起訴と同 視することはできない」と改めて指摘し、党員資格停止の期間について、指針では「最長6カ月」であるのに、「判決確定までの間」としたのは、民主主義国家の政党のあり方として著しく不穏当と訴えた。 だが、検察による起訴も、検察審査会による起訴も刑事手続き上は同じ起訴であり、検 察審査会による起訴を軽く見るのはおかしい。期間についても一般職公務員の場合、刑事起訴された時点で業務から外されて休職扱いになり、判決確定まで業務には関われない。小沢氏の処分期間に際し、国家公務員法に準じて「判決確定までの間」としたことが「著しく不穏当」とは言えないだろう。 党員資格停止は、党の倫理規則の中では、「除籍」や「離党勧告」より軽く、この点だ けを見れば甘い処分である。党執行部が軽い処分を選択したのは、予算関連法案を衆院で再可決するため、小沢氏に近い議員グループの造反を避ける狙いが透けて見える。本来なら小沢氏は潔く議員辞職するか、最低でも離党すべきだった。 処分問題が決着しても国会での説明責任はまだ終わっていない。小沢氏は、裁判とは別 に政治家としての責任を果たす必要がある。
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