2010年12月27日 22時41分
金星探査機「あかつき」の軌道投入失敗を調査中の宇宙航空研究開発機構(JAXA)は27日、原因と断定した逆流防止弁の不具合により、逆噴射のための燃料が予定の10分の1しか流れなかったとの分析結果を発表した。想定外の事態で逆噴射用のエンジンが破損した可能性もあり、JAXAは来年2月、地上で同型エンジンの燃焼試験を実施し、被害状況を見極める。
この弁は米国製。直径2~3センチ、長さ4~5センチで衛星用の汎用(はんよう)品だ。JAXAが探査機から送られた記録を調べた結果、打ち上げ直後の5月21日、燃料タンクの圧力を調整した際には正常に働いたが、6月末のエンジンの動作試験時は噴射時間が短かったため、弁は作動しなかった。異常発生時期は不明で、どうすれば正常になるのかも分かっていないという。
エンジンは、液体燃料と、燃焼のための酸素を含む酸化剤を1対0・8の割合で混ぜて燃焼させる。しかし燃料が少なかったため酸化剤との混合比が逆転、エンジンが過熱する状況になった。【山田大輔】