2010年12月27日 15時0分
年末時点の確定死刑囚が111人と戦後最多となる見通しであることが法務省の調べで分かった。今年1年間で9人の死刑が確定する一方、年間の執行が2人だったことが背景にある。これまでは07年末の107人が最多だったが、今年は初めて110人を上回った。裁判員裁判では3人に死刑が言い渡されたが、いずれも控訴しており、高裁の判断が注目される。
最高裁や毎日新聞の集計によると、今年、全国の地裁、高裁と最高裁で死刑判決を受けた被告は計14人。このうち、最高裁で判決を言い渡された7人の死刑が確定したほか、09年12月に判決を受けた2人の死刑が今年に入って確定した。
法務省によると、09年末時点の死刑確定者は106人。今年は2人の死刑が執行され、2人が病死した結果、確定者は111人となった。
死刑執行に慎重だった千葉景子氏が法相に就いていた9月までの執行は7月28日の1回(2人)。
その後、現職検事による証拠改ざん事件が起きたうえ、柳田稔前法相が自らの発言で辞任に追い込まれたこともあり、執行を検討する機会がなかったとみられる。
今年死刑が確定したのは、茨城・土浦9人殺傷事件の金川真大(27)▽オウム真理教事件の井上嘉浩(40)、新実智光(46)▽福岡・久留米連続保険金殺人事件の吉田純子(51)の各死刑囚ら。さいたま地裁では、元厚生事務次官宅連続襲撃事件の小泉毅被告(48)に死刑が言い渡されたが、控訴している。
一方、2審で死刑を言い渡された森健充被告(53)に無罪の余地があるとして、最高裁が4月に審理を1審に差し戻す異例の判決もあった。
8月には初めて同省が東京拘置所の刑場を公開、11月には裁判員裁判で初の死刑判決が出るなど、死刑制度を巡る議論に注目が集まった。【伊藤一郎】