2010年12月24日 10時40分 更新:12月24日 10時54分
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、東京都千代田区丸の内の広報施設「JAXAi」を28日午後8時に閉館する。4月にあった行政刷新会議の事業仕分けで廃止と判定されたのを受けた措置だが、「仕分け効果」で来館者が急増し、今年度は過去最高の約24万人に達する皮肉な結果になった。館内の自由ノートには、閉館を惜しむ声があふれている。
JAXAiは04年9月に開館。燃焼試験に使った本物のロケットエンジンなどが展示され、JR東京駅前の好立地や入館無料も相まって、「ふらりと立ち寄って宇宙に触れられる」人気スポットに。だが、事業仕分けでは「箱ものを持つ必要性が感じられない」など年約1億円の運営費や広報効果が問題視され、廃止と判定された。
仕分け直後から来館者が急増し、5月は前年同月の3倍近い約4万人、6月は同2.5倍の約2万5000人が訪れた。小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰ったカプセルを特別展示した8月には、月間最高の6万1000人を記録。開館以来の総入館者数は延べ約120万人に上った。
来館者が感想などを自由に書き込むノートには「宇宙を身近に感じさせてくれる施設として大好きだった」「もっと宇宙好きや科学好きを増やせるような場所がたくさんあるべき(だ)」「ここを仕分けるなんて間違っている」など、閉館を惜しむ記述が目立つ。
JAXAiの田中令以知(れいぢ)学芸員は「この場所だからこそ、全国から人が来てくれた。そのきずなが途絶えないか心配」と話す。
ロケットエンジンを除く展示品は、希望する科学館などに貸し出す意向。最終日の28日は午後6時半から、今年の宇宙の話題を振り返るトークショーを開催する。問い合わせはJAXA広報部(03・6266・6400)。【西川拓】