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中国、中東デモの報道規制 一党独裁と「関連づけるな」

2011年2月22日7時21分

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 【北京=峯村健司】中東で政権崩壊をもたらした民主化デモについて、中国共産党中央宣伝部が2月上旬、国内主要メディアに対し、「中国と関連づける報道をしてはならない」という内部文書を出していたことがわかった。波及に危機感を抱いた当局が情報統制を敷いたとみられる。

 中国政府関係者が明らかにした。文書では、長期独裁政権を続けてきたエジプトやチュニジアの政治体制と、中国の共産党独裁を結びつけるような報道を禁止。双方の指導者の名前を並べるような記事も禁じた。記事で一連のデモの原因が民主化要求や物価上昇への不満であることに触れたり、「革命」という言葉を使ったりしないようにも指示されているという。

 中国メディア関係者は「かなり細かい指示だ。当局が神経をとがらせているのだろう」と話す。

 中国では、チュニジアの「ジャスミン革命」などにならった一斉デモの呼びかけがネット上であり、各地で20日、一部市民が警察に連行されるなどの騒ぎがあった。この騒動を機に規制はさらに強化され、21日付の大半の中国紙は事実すら伝えなかった。新華社は海外向けの英文記事で北京市や上海市で「群衆が集まり、警察が来て解散した」と伝えただけだ。

 また、ネット規制も強まっており、中東デモに関する書き込みができた一部のポータルサイトでも、20日以降、ほぼすべてのサイトでできなくなった。「中国人民はエジプトから何を学ぶか」「エジプト革命は明日の中国」などのネット上の書き込みは次々と削除されている。

 当局が比較に敏感になる理由として、中国でも1月の消費者物価指数が前年同月比4.9%増となるなど物価上昇が深刻で、国民の政府に対する不満が高まっていることがある。1989年の天安門事件でも物価高が遠因となっていることから、今後さらに報道やネット規制を強める可能性がある。

 エジプトのデモなどは、インターネットの交流サイト、フェイスブックを使った呼びかけが原動力となった。だが、中国では新疆ウイグル自治区での騒乱が起きた2009年以降、フェイスブックを利用できない状況が続いている。

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