東国原知事「“愛のムチ条例”検討に値するかも」 読売ONLINE
宮崎・東国原 英夫知事、「愛のむち条例」制定に意欲見せるフジニュースネットワーク
戸塚ヨットスクールを絶賛する石原都知事、「子どもが笑う大阪に」といいながら子どもに対する体罰を積極的に肯定する橋下府知事。
3人とも保守派ですが、保守政治家は体罰がお好きなのかしら?と思ってしまいました。
保守派=体罰肯定とは思ってはいないですけどね。
(私の知っている保守派を自認する人の殆どは体罰反対ですので)
東国原さんの記事をググッていましたら、こんなものを見つけてしまい、一気に血圧が上昇。
<東国原知事>突然言及「愛のムチ条例はできないか」
日本会議地方議員連盟が運営しているblog
草莽崛起ーPRIDE OF JAPAN 06月19日のエントリです。
(新聞記事を引用した部分以外)全文を引用します。
「愛のムチ条例」皆さんはいかがでしょうか。
今、教育界は病んでいます。まず、子どもの権利、権利を主張してきた日教組の教師が困っているほどだが、イデオロギー関係なく教師が学級をまとめることが出来ず、不登校は当たり前、授業は進まず、中断するので教育レベルは落ちるばかり、進学塾が必要なのは、必要悪の世界となった。
教師を困らせているのは、家庭環境がしっかりしていない子どもたちによるものだ。朝、両親とそろって食事をする家庭は半数に満たない。片親が仕事で朝、そろはない家庭が2割いるという。
ADHDとかアスペルガ−症候群も多くなった。
とりわけてアスペルガーの子供達は、概して優秀だが、協調性がないために、入学式の最初が肝心で、親と学校とで手厚くいい意味での指導を施さないと、子どもはややもすれば非行に走るし、学級は成立せず、教師は不登校へとなるケースが高い。
どうしてアスペルガーの子どもが増えているのかわからないが、子どもが劣化しているのは事実であり、それに如何に対応すべきか深刻である。
東国原知事の発言を引用しながら体罰には触れず、結局何が言いたいのか理解しかねる内容です。
子どもが劣化しているのが事実だと言い切ってしまう、この自信はどこから来るのでしょう。
前段と後段のつながりも謎。
家庭環境がしっかりしていない子どもたちによって教育界が病み、親が子どもと朝食を摂らない(んじゃなくて、摂れないんだよ。通勤時間がかかるからという親御さんも多いかと)から、子ども達が劣化する?で、劣化した(!)子ども達には「愛のムチ」が必要だと言いたいのでしょうか?
署名がないので、この記事を書いたのが誰なのかは分かりませんが、blogを運営している議員連盟の中の誰かなのでしょう。
今日、この記事を再び見に行ったところ、アスペルガー症候群のお子さんを持つ親御さんと思われる方からの悲痛なコメントに対して、管理人から謝罪のコメントがついていました。
曰く、この記事を書いた方自身にも軽度のアスペルガーという診断を受けた子どもさんがおられるとのこと。
自分の体験を交えて、障害を持った子ども達に学校や社会での手厚いケアが受けられなければ、非行や学級崩壊にいたる(こともある)といいたかったようです。
そうした学校が急速にふえていのが現実です。本当に忍耐力をもっての愛情で、その対応をしっかり踏まえていないと子どもは救われない状況に追い込まれます。そんなことがないように、親も教師も粘り強く対応することが求められていると思います。
結局の所、この管理人さんが体罰を容認しているのかどうか、障害を持つ子どもに対して愛のムチが必要だと思っているかどうかは語られていません。
最初に悲痛なコメントを寄せられた方は「愛のムチは必要」だと別のコメントでおっしゃっています。また、この方から「障害者差別と思われるような表現は左翼の攻撃を招き、障害者が利用される」から、書くべきではないといった主張もありました。
・・・。う〜ん。
そういう話しなのか?
この件に関しては、論点がずれるのでこれ以上言及するのは止めておきます。
こういったやりとりの後も、記事自体は全く訂正されていませんので、管理人さんの主張は、記事通りと見た方が良さそうです。
で、この「教育に愛のムチが必要」という意見について、私は、いつも通りの反論しかないわけですが(参照:キレル人の作り方)。一点だけ、最近の情勢から・・・。
6月13日(ジュネーブ時間12日午後)、国連人権理事会本会議において日本政府は5月の作業部会報告書に示された各国政府からの26項目の勧告についての対応を明らかにしました。
日本政府が受け入れた項目
・ パリ原則に基づく国内人権機関の設置
・ 女性に対する差別、少数民族に属する女性に対する差別の撤廃
・ 性的志向に基づく差別の撤廃
・ 女性・子どもに対する暴力の撤廃
・ 女性・子どもに対する人身売買との闘いの継続
・ 現住所から不当に連れ去られた子ども、又は現住所に戻ることができない子どもが即座に戻れるような仕組みを作ること(ハーグ子奪取条約の批准)
・ 子どもに対する体罰の禁止
・ 難民認定審査手続を拷問等禁止条約などの関連の人権条約と整合するものとし、必要な場合には移住民に国が法律支援を行うこと
・ 引き続き社会経済的に発展する必要がある国を経済的に援助し、開発の権利を実現する世界的取り組みに対する支援を拡大すること
・ インターネット上の人権侵害防止の経験を他国にも伝えること
・ 国内レベルでUPR 手続のフォローアップに市民社会を十分に参加させること
日本政府が受け入れ拒否した項目
・ 従軍慰安婦問題について国連のメカニズムの勧告に真摯に対応すること等
・ 平等と非差別の原則に適合するよう国内法を改正し、人種差別、差別、外国人嫌悪を禁止する国内法を緊急に制定すること
・ 在日コリアンに対するあらゆる形態の差別を撤廃する対策を講じることなど
・ 停止や廃止を視野に入れて死刑について緊急に検討すること
・ 警察における取調べをモニターする方法について検討し、代用監獄制度のもとにおける警察での長期勾留の利用について再検証すること
・ 難民認定を審査する独立した機関を設けること
・ 不法滞在が疑われる移住者がいたら法務省のホームページに匿名で告発することを一般市民に呼びかける方式を廃止すること
「 女性・子どもに対する暴力の撤廃」「 子どもに対する体罰の禁止」
を日本政府が受け入れたことは注目に値します。
DV防止法や児童虐待防止法ができた経緯から考えると、5〜6年後には子どもに対する体罰の禁止が法制化されるかもしれません。
ま、私の妄想は置いといて(笑)。
東国原発言や上記blogの発言は、このことを知らなかったからなのか、あるいは知っていてわざとなのかは定かではありませんが、政府が体罰禁止を受け入れた矢先の、この発言はどうなんでしょうね?
うがった見方をすれば、政府の本音を代弁しただけだとも・・・。
余談:
日本政府は「停止や廃止を視野に入れて死刑について緊急に検討すること」という勧告を拒否しました。
先の死刑執行は、この発表から僅か4日後です。
鳩山さんは執行数日前に署名捺印したと言っていますね。
死刑執行は国内向けの見せしめと、「絶対、死刑は止めない」という、国際社会への強い意思表明だったようです。
参照:
国連人権理事会本会議におけるUPR審査に対する日本政府の対応についての日弁連コメント
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/080613_2.html