1月21付けの日経新聞に日本が家電の純輸入国に転じた記事が出ていました。70年代、80年代、日本の家電は世界市場を制覇しました。そして、その技術力は今でも高い評価を得ています。
その高い技術を維持したまま電機メーカーは日本国外が主たる製造拠点と変わってきました。つまり昨年飛ぶように売れた薄型テレビもアジア諸国で製造されたものが多いのです。
その高い技術を維持したまま電機メーカーは日本国外が主たる製造拠点と変わってきました。つまり昨年飛ぶように売れた薄型テレビもアジア諸国で製造されたものが多いのです。
例えばソニー。テレビの生産工場は日本ではもう一箇所しかありません。ほとんどがEMSと称する会社で製造しています。その大手は台湾。そしてその工場は中国なのです。
さて、日本の景気が浮上しないと言われ続けています。僕は「日本の会社は儲かるが、個人の生活は苦しくなる」とこのブログで時々述べさせてもらっています。
この理由を分かりやすくもう一度説明しましょう。
経済の原則を振り返ってみましょう。
モノが売れると製造を増やします。そのため、工場を増設して人を雇って生産量を増やします。そうすると雇用は改善し、給与も良くなります。給与が上がれば皆さんは我慢していたものを買う、という一連のサイクルが続くのが景気上昇の最も簡単な従来の説明です。
が、この説明は昔は正しかったのですが今の時代では正解ではありません。
なぜならモノが売れて製造を増やすまではよいのですが、製造を増やしたのは上のテレビの例ではソニーが委託している台湾のEMS会社なのです。しかもこの会社も工場は中国にあります。するとソニーのテレビが売れると中国の雇用が改善し、給与も良くなるのです。
これをちょっと難しく言うと「産業の空洞化」といいますが、要は会社は儲かるけれど日本国民には経済的メリットはありません、という意味です。
もっと極端に言うとエコポイントは誰のため、と言うと中国経済浮揚のため、ということになりました。これは結果です。
日本はアメリカと似た同じ道を辿っています。アメリカは日本からの繊維輸出をはじめ鉄鋼、自動車、精密機器、電機などを通じて市場を奪われました。結果としてアメリカ国内における製造業は衰退しました。今、日本も同じ道を歩んでいるのです。
よい例を挙げましょう。IBMはパソコン事業を中国レノボに売却しました。アメリカにとって製造業は競争力がなくなっていたことがその理由の一つに考えられます。
NECがそのレノボと合弁することになりました。98シリーズなどで日本で最もパソコンのシェアの高いNECですらレノボと合弁になるのです。
HPやデルは世界でトップクラスですが、その主たる生産はアメリカではありません。つまりこのビジネスモデルはソニーと同じです。
日本を代表する自動車、精密、電機などの産業はどれだけ繁栄してもいまや雇用をほとんど生みません。それだけではありません。大学卒業の総合職の採用もパナソニック、ソニーなどが次々と雇用の多様化を図り始めました。
これは何を意味してますか?お分かりですね。日本人の富を消費することで日本経済を維持していこうという流れです。例えは悪いのですが高齢者が貯蓄を取り崩して生活しているのと同じということになります。
このままいくと日本の雇用事情は急速に悪化してしまいます。
高度な能力を要求される総合職のみならず単純労働の雇用口を増やさないと失業率は2割にも3割にも達するようになります。昔のイギリスのようですね。
我々が必要としている経済って効率化だけではないのかもしれませんね。
ということで今日はこのぐらいにしておきます。
コメント、ウェルカムです。どしどしお寄せください。
・日本から仕事が消える日 - 外から見る日本、見られる日本人(2011年1月31日)
・ここヘンJAPAN - 公式サイト
さて、日本の景気が浮上しないと言われ続けています。僕は「日本の会社は儲かるが、個人の生活は苦しくなる」とこのブログで時々述べさせてもらっています。
この理由を分かりやすくもう一度説明しましょう。
経済の原則を振り返ってみましょう。
モノが売れると製造を増やします。そのため、工場を増設して人を雇って生産量を増やします。そうすると雇用は改善し、給与も良くなります。給与が上がれば皆さんは我慢していたものを買う、という一連のサイクルが続くのが景気上昇の最も簡単な従来の説明です。
が、この説明は昔は正しかったのですが今の時代では正解ではありません。
なぜならモノが売れて製造を増やすまではよいのですが、製造を増やしたのは上のテレビの例ではソニーが委託している台湾のEMS会社なのです。しかもこの会社も工場は中国にあります。するとソニーのテレビが売れると中国の雇用が改善し、給与も良くなるのです。
これをちょっと難しく言うと「産業の空洞化」といいますが、要は会社は儲かるけれど日本国民には経済的メリットはありません、という意味です。
もっと極端に言うとエコポイントは誰のため、と言うと中国経済浮揚のため、ということになりました。これは結果です。
日本はアメリカと似た同じ道を辿っています。アメリカは日本からの繊維輸出をはじめ鉄鋼、自動車、精密機器、電機などを通じて市場を奪われました。結果としてアメリカ国内における製造業は衰退しました。今、日本も同じ道を歩んでいるのです。
よい例を挙げましょう。IBMはパソコン事業を中国レノボに売却しました。アメリカにとって製造業は競争力がなくなっていたことがその理由の一つに考えられます。
NECがそのレノボと合弁することになりました。98シリーズなどで日本で最もパソコンのシェアの高いNECですらレノボと合弁になるのです。
HPやデルは世界でトップクラスですが、その主たる生産はアメリカではありません。つまりこのビジネスモデルはソニーと同じです。
日本を代表する自動車、精密、電機などの産業はどれだけ繁栄してもいまや雇用をほとんど生みません。それだけではありません。大学卒業の総合職の採用もパナソニック、ソニーなどが次々と雇用の多様化を図り始めました。
これは何を意味してますか?お分かりですね。日本人の富を消費することで日本経済を維持していこうという流れです。例えは悪いのですが高齢者が貯蓄を取り崩して生活しているのと同じということになります。
このままいくと日本の雇用事情は急速に悪化してしまいます。
高度な能力を要求される総合職のみならず単純労働の雇用口を増やさないと失業率は2割にも3割にも達するようになります。昔のイギリスのようですね。
我々が必要としている経済って効率化だけではないのかもしれませんね。
ということで今日はこのぐらいにしておきます。
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