2011年2月22日3時5分
大阪地検特捜部が手がけた郵便不正事件を受け、最高検が検討を進めていた特捜部の取り調べの一部録音・録画(可視化)の試行方針が固まった。裁判員裁判対象事件ですでに実施されている方式を踏襲し、独自事件の容疑者について自白調書の内容を確認する場面などに限る。国税庁など他機関からの告発事件は録音・録画の対象から除く。
24日に開かれる「検察の在り方検討会議」(座長・千葉景子元法相)で報告し、4月以降に実施する。
郵便不正事件では多数の供述調書が「検事の誘導でつくられた」などの理由で証拠採用されなかった。最高検はこの反省から、特捜部が手がける事件にも一部可視化の導入方針を示し、具体的な試行方針を検討。特捜現場で「犯罪を摘発できなくなる」「情報収集に多大な影響がある」など録音・録画に否定的な意見が大勢を占めたため、裁判員裁判対象事件での方式が現段階で導入できる限界と判断した。録音・録画が導入されるのは、東京、大阪、名古屋の各地検特捜部が独自に捜査し、逮捕した容疑者が自白した事件のみ。容疑者の自白の任意性などを公判で立証する目的で、検事が調書を容疑者に読み聞かせたり、調書の作成過程を質問したりする場面などの録画を想定している。逮捕されていない参考人の調べは、可視化の対象から除いた。
録音開始のタイミングは、裁判員裁判対象事件での運用にならい、取り調べの最終段階に限らず、取り調べの初期や途中段階でも実施できる。
国税庁や証券取引等監視委員会などの告発事件は、検察以外の捜査・調査機関での取り調べを受けてチェック機能が働くなどの理由で除外したとみられる。