PiTaPaは流行に敏感な20代の女性にとってのトレンド。
—— 現在まで何枚くらい発行されていて、どの年代層の利用者が多いのですか?
2004年8月のサービス開始当初は、阪急電鉄、京阪電車、能勢電鉄の3路線でスタートし、06年の初めまで16万人ほどの会員数でした。大阪市交通局などが参画したことにより、ネットワークが一気に拡大し、07年の2月現在で、会員数は約60万人にまで増えました。
利用件数は1日に約70万件ですが、06年に入ってから1日あたり約1000名様のお申し込みをいただいており、現在も急増中です。利用年齢層で多いのは、やはり社会人の30〜40代の男性客で、通勤客の中では50代の男性も多いですね。また、20代の層では女性が多いです。理由は、PiTaPaに「スマートでおしゃれ」という印象を持ってくれているようです。特に関西の20代の女性は流行に敏感で、最先端のものをいち早く取り入れる傾向があるんです。たしかに、おしゃれな女性がスマートに改札を抜けていく光景を目にすると「PiTaPaを導入して本当によかったなぁ」と思いますよ(笑)。
—— PiTaPaが関西の若い女性の間で“トレンド”として口コミで広がっているんですね。ところで、PiTaPaはどうやって入手するんですか?
PiTaPaは銀行口座からの引き落としですので、クレジットカード同様にカードを申し込んでいただきます。駅窓口や改札付近の専用ラックに申込書を置いていますので、これに必要事項を記入し、ポストに投函いただければ3週間ほどでカードをご自宅にお届けする仕組みです。クレジットカードの申込みによく似ていますが、できるだけ多くの方にカードをお持ちいただけるよう、通常のクレジットカードの審査基準とは異なり、約95%の方にカードをお持ちいただけるようにしています。また、PiTaPaには、PiTaPaのサービスだけをお受けいただけるベーシックカードと、さまざまな特典が付いた提携カードがたくさんあります。
—— PiTaPaの提携カードはどれくらいの種類があるのですか?また、各カードのポイントサービスなどについても教えてください。
提携カードには阪急グループの特典が付いた「HANA PLUSカード」や、京阪グループの特典が付いた「e-kenet PiTaPa」など、各社沿線のお客様に便利でお得なカードが10種類あり、趣向をこらしたポイントサービスなどを提供しています。
また、OSAKA PiTaPaやKOBE PiTaPaでは、1979年に大阪で登場した食べ歩きの好きな方々による全国規模の会員制グルメ・サークル「CHECK&CHECK CLUB」の全国約2800店舗の加盟店で、カードを見せるだけでお店によって料金が20%〜30%OFFになるなど、お得な特典サービスが受けられます。
PiTaPa特有のポイント制度である「ショップdeポイント」では、PiTaPa加盟店で買物をされたお客様に、鉄道・バスの運賃割引に充当するポイントを付与し、公共交通機関の利用促進を図っています。これは、PiTaPaをご利用いただいたお客様に店側が“足代”として交通費を負担する形になります。
—— 電車・バスの利用、ショップでの買物以外にPiTaPaの便利な利用方法などがありましたら教えてください。
社員証、ID証としての利用事例もあり、例えば、大阪府池田市の市役所の入退室管理にPiTaPaカードを利用いただいています。また、PiTaPaの改札機利用時にお客様のお好み情報をメール配信する「PiTaPaグーパス」や、児童向けのセキュリティサービス「あんしんグーパス」も行っています。「あんしんグーパス」は、月額利用料315円で児童の改札通過情報を保護者の携帯にメール配信するサービスで、06年1月よりスタートし、現在約2,000名様にご利用いただいています。さらに、立命館小学校様では、児童が校内の出入口のセンサーにPiTaPa児童証をタッチいただくことにより、親御様の携帯にメール配信する「あんしんサービス」も順調に稼働しています。
—— 子供の安全を守ることにも貢献しているんですね。これもお客さまの声なんですか?
そうです。無料サービスの「PiTaPaグーパス」で、お客様に対し、さまざまなアンケートを行っているのですが、このなかで「自分の子供のカードを登録しているが、サービスにできるのではないか」という提案をいただいたんです。これをもとに実証実験をして、アンケートをとった結果、ほぼ全員から「安心感が増した」という回答をいただいて、3ヵ月後にサービスをスタートさせたのです。今後も、お客様のニーズを反映したサービスに積極的に取り組んでいきたいと思います。
—— しかし、お客様の声をキャッチしてリリースするスピードが速いですよね。本当に感心します。
やはりお客様の声が一番大切だと考えています。スルッとKANSAI協議会を設立して以来、お客様のニーズにお応えしていきたいという気持で取り組んできました。
例えば、協議会で年6回発行している『スルッとKANSAI 遊びマップ』は、お客様からのスルッとKANSAI沿線の情報をもっと知りたいというニーズに応えようとしたことから生れたフリーペーパーで、駅などのラックに設置し、スルッとKANSAIの各沿線で開催されるイベントや新しいお店、面白スポットなどの情報を紹介しています。また、スルッとKANSAIネットワークの電車・バスが2〜3日間乗り放題になる旅行者向けの「乗り放題チケット」も展開しており、海外からのお客様にも好評で、発行枚数も年間4万枚を超えています。このように、これまで一社単独ではできなかったサービスが、各社が集まることによって非常に強大なネットワークとなり、大きなポテンシャルを持つサービスが実現できるようになりました。さらに、協議会では各社のコスト削減策として蛍光灯やレール、枕木などの共同購入も行っています。これからもPiTaPaで花開いたこのネットワークを活かした取り組みを行い、さらなるサービス向上に努めていきたいと思います。
—— 関西圏にお住まいの方は本当に幸せですね。それでは、最後に、将来的な展望などをお聞かせください。
PiTaPaは全てがお客様の声によって生まれたサービスです。しかも、約1世紀にわたり、先払いが当たり前だった鉄道運賃の支払い方法を後払いにして、お客様の利便性を格段に向上させた革新的なサービスです。今後も、つねにお客様の視点で、お客様の声に耳を傾け、よりよいサービスの実現に努めていきたいと思います。そして、もっとPiTaPaが使えるシーンを増やし、日本全国でPiTaPaを普及させることが目標です。そして、いつかは、世界中でPiTaPaが利用できるようにすることが夢ですね。