NHKは21日、無免許運転を繰り返していた札幌放送局千歳報道室の漆原充孝記者(27)を懲戒免職に、ビデオリサーチの視聴率データを、契約に違反してインターネットの掲示板に投稿した大津放送局の男性ディレクター(27)を諭旨免職の処分にすると発表した。いずれも28日付。
NHKによると、記者は函館放送局に勤務していた09年7月、私有車で速度違反などを起こし、免許取り消し処分を受けた。しかし同報道室に異動した同年9月から今年1月まで、無免許を隠して業務用乗用車を運転。10年6月から9月までは車検も切れていた。
車検費用の請求がないため、札幌局が調査。記者は車検切れを認識していたものの失念、10年9月になって自費で車検を行っていたことが分かり、今年1月、無車検と無免許が発覚した。「免許がないと分かると、仕事ができなくなると思った」と話しているという。当時の上司2人も21日付でけん責処分にした。
大津局ディレクターは、ビデオリサーチから目的外使用をしない契約で有償提供されているデータを私用パソコンに転送。08年12月から今年2月初旬までの約390日分のNHKと民放5局のデータを投稿した。昨年末、ビデオリサーチからNHKに指摘があり判明した。「ネット上で注目を集めたかった」と話しているという。
ビデオリサーチは「これほど重大な契約違反は例がない。調査費用の賠償請求も検討したい」。NHKは「非常に深刻に受け止めており、具体的な案件に即した対策を講じたい」とコメントした。【高橋咲子】
毎日新聞 2011年2月21日 20時19分(最終更新 2月21日 22時53分)