被扶養者の認定基準

●被扶養者とは

 被保険者の収入によって生活している家族は「被扶養者」として健康保険の給付を受けることができます。健康保険の被扶養者になるには家族なら誰でも入れるというものではなく、法律などで決まっている一定の条件を満たすことが必要です。健康保険の扶養家族は会社の扶養手当や税法上の扶養家族とは基準が全く異なります。


●被扶養者の認定基準

 被扶養者として認定を受けるためには、次のいずれの条件も満たす必要があります。健保組合は次の項目に沿って総合的かつ厳正に審査した上で被扶養者に該当するかどうかを判断します。


認定条件

1.

その家族は健康保険法に定める被扶養者の範囲であること。

2.

その家族に優先扶養義務者が他にいないこと。(※優先扶養義務者とは⇒その家族の「配偶者」、その家族が母の場合は「父」、兄弟姉妹・祖父母の場合は「両親」など。)

3.

優先扶養義務者には扶養能力がなく、被保険者がその家族を扶養せざるを得ない理由があること。

4.

被保険者はその家族を経済的に主として扶養している事実があること。(=その家族の生活費のほとんどを主として負担していること。)

5.

被保険者には継続的にその家族を養う経済的扶養能力があること。

6.

その家族の年収は被保険者の年収の1/2未満であること。

7.

その家族の収入は月額108,334円未満(60歳以上は月額150,000円未満)であること。
1年を通じての収入については130万円/年(60歳以上は180万円/年)未満であること。

8.

夫婦がともに働いていて子供を扶養する場合、将来継続的にみて収入が多い方の扶養とする。複数の子供がいる場合、父母で分けて扶養することは健康保険法で認められていないため、収入の多い方の親が子供全員を扶養すること。


●被扶養者の範囲

 被扶養者の範囲は法律で決められていて、被保険者と同居でなくてもよい人と、同居であることが条件の人がいます。
<同居でなくてもよい人>
1.配偶者(内縁含む)
2.子・孫・弟妹
3.父母などの直系尊属
<同居であることが条件の人>
1.上記以外の三親等内の親族(義父母・兄姉等)
2.被保険者の配偶者(内縁関係も可)の父母・連れ子



被扶養者として認められる三親等内の親族範囲図

被扶養者の範囲図


*数字は親等数を表わします。


●16歳以上60歳未満の家族

 健康保険の被扶養者に該当する方は通常、(1)配偶者、(2)16歳未満の子、(3)60歳以上の家族です。16歳以上60歳未満の方は就労可能な年齢にあり、被保険者の経済的支援がなくても自立して生活できる場合が多くあります。このため、被扶養者になるためには書類の提出により就労できない状態にあることを証明し、被保険者が生活費のほとんどを援助しなくてはならない状態にあることを申告することが必要です。


●被扶養者の収入

1.被扶養者の収入限度額(厚生労働省通達に基づく)

被扶養者の年齢

収入限度額

59歳以下

月額108,334円未満
(年収換算で130万円未満)

60歳以上
(または59歳以下の障害厚生年金の受給要件該当者)

月額150,000円未満
(年収換算で180万円未満)


2.収入の範囲

(1)

給与収入(通勤交通費等の非課税収入及び賞与を含む)

(2)

各種年金収入(厚生年金・国民年金・公務員等の共済年金・農業者年金・船員年金・石炭鉱業年金・議員年金・労働者災害補償年金・企業年金・各種の恩給・自社年金・非課税扱いの遺族年金・障害年金・私的年金等)

(3)

事業収入(農業・漁業・商業・工業等自家営業に基づく所得。また保険の外交等自由業に基づく所得。)

(4)

不動産収入(土地・家屋・駐車場等の賃貸収入)

(5)

利子収入(預貯金・有価証券利子等)

(6)

投資収入(株式配当金等)

(7)

雑収入(原稿料・印税・講演料等)

(8)

健康保険の傷病手当金・出産手当金

(9)

雇用保険の失業給付 又は傷病手当

(10)

被保険者以外の者からの仕送り(生計費・養育費等)

(11)

その他継続性のある収入(譲渡収入等)


3.収入の算出方法と注意

1.

被扶養者となる方の収入基準は所得金額でなく、税金控除前の総収入金額(賞与・通勤交通費等を含む)で判断します。
収入が変動的な場合は、前年度の収入で判断します。

2.

雇用保険・出産手当金・傷病手当金は受給額で判断します。
日額換算で下記金額を超える方は、支給を受けたら申請してください。
●60歳未満の方は 3,612円以上
●60歳以上の方は 5,000円以上

3.

収入は、以下のものを除き全て収入と見なします。
●退職金、利子収入、配当金収入、不動産売買収入等一時的な収入。

4.

自営業(農業・漁業従事者含む)をしている方は収入基準で判断します。
●収入証明書および確定申告書(税務署受付印のある写)の総収入から必要最少限の経費を差し引いた収入額で判断します。
健保組合が認める経費は、税法上とは異なります。


<年間収入の考え方>


● 年間を通して勤務(年金受給)の場合

     ⇒ 1月1日〜12月31日の収入で確認


● 年の途中で就職した(年金受給額が変わった)場合

     ⇒ 就職(受給額変更)日から向こう1年間の収入見込で換算


● 退職した場合

     ⇒ 退職日以降、収入がない場合は0円とみなす


●仕送り基準額

 家族が別居している場合は、認定条件として被保険者が継続的な仕送りでその家族の生活費のほとんどを主として負担している事実が必要になります。該当家族へ定期的に下限基準額以上(もしくは家族の収入以上)の金額を仕送りしていることが必要です。


<仕送り下限基準額 (人事院の標準生計費資料に基づく)>

該当者(人数)

仕送り下限基準額

1人

7万円/月(84万円/年)

2人

10万円/月(120万円/年)

別居であっても仕送りが不要なケース>
A.単身赴任による別居
B.子供が学生で進学による別居


●扶養認定日

 被扶養者(異動)届及び必要書類一式が提出され、健保組合が扶養の事実を認めた日が認定日となります。
(ただし、(1)出生においては出生年月日を認定日とします。また、(2)婚姻・(3)退職による異動事由と(4)退職後の任意継続の資格喪失による異動事由は、被保険者が1ヵ月以内に扶養申請した場合に限ってその事実が発生した日に遡って認定します。)


●被扶養者資格の見直し

 被扶養者に対する定期見直しは一定の期日を決めて実施し、再認定を行うことになっています。再認定時に必要書類の提出ができないときは資格を取り消される場合もあるため、仕送り証明などの書類はいつでも提出できるように準備していただくことが必要です。


●虚偽の申請による罰則

 被保険者が扶養の実態がない家族を虚偽の申請により認定を受けたことが判明した場合は、被扶養者の資格は遡って取り消され、当該期間にわたって発生した医療費の全額及びその他給付金を過去に遡及し返還しなくてはなりません。

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