2011年2月22日3時10分
動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開された映像。中東の衛星テレビ局アルジャジーラは「20日夜から21日未明にかけてトリポリで撮影された」と報じた
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは21日、過去5日間のリビアでの死者数が233人となったと発表した。実際の死者はさらに多いとみられる。
東部ベンガジ近郊を本拠とするリビア最大の部族が体制に反旗を翻したとの情報がある。別の有力部族の幹部は20日、「市民に対する抑圧が続くならば、石油輸出を止める」と述べた。また東部ナフーラ油田では労働者がストをはじめ、原油生産が止まったという。リビアのイスラム法学者ら50人が連名で21日、「あらゆる手段で体制に抵抗することはイスラム教徒の神聖な義務」との声明を出した。
カダフィ氏の次男で後継者と目されるセイフルイスラム氏(38)は21日未明、国営テレビで「内戦か改革かの分岐点にある」と事態の沈静化を訴えたが、演説の効果は限定的だったとみられる。
21日付アラブ圏紙シャルクルアウサトによると、革命評議会幹部らがカダフィ氏に退陣を迫り、権限を軍部に渡すよう求める声明を送ることを決めたという。幹部らは軍部中心の移行政権をつくり、1年以内の選挙導入による新政権発足を検討しているという。
一方、アルジャジーラなどによると、アブドルジャリル法相が21日、「過剰な暴力行使に抗議する」として辞任した。また、リビアのアラブ連盟代表大使に続き、駐インド大使も同日、辞意を表明した。
中東に駐在し、日々、中東の動きに接する川上編集委員が、めまぐるしく移り変わる中東情勢の複雑な背景を解きほぐし、今後の展望を踏まえつつ解説します。エジプトからの緊急報告も。