国際【主張】G20と中国 経済大国の自覚と責任を2011.2.21 03:04

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【主張】
G20と中国 経済大国の自覚と責任を

2011.2.21 03:04

 先進国と途上国による20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、世界経済の不均衡是正に向けた「参考指針」の策定で合意したが、決裂も辞さないという中国の強圧的な対応に終始振り回された。

 中国が、インフレ対策や人民元改革などで国際協調をないがしろにすれば、世界経済の不均衡はさらに拡大し、結果的に中国自身の経済成長も阻害しかねない。中国には国内総生産(GDP)で世界2位の経済大国になった自覚と責任を改めて強く求めたい。

 世界経済は、2008年秋のリーマン・ショックに伴う経済危機から脱したものの、今回の共同声明が指摘するように、先進国と新興国で経済成長の勢いに差が出ている。これが先進国からの大量の資金移動や、中国などの大幅な経常黒字を生み、食料や原油価格の高騰にもつながっている。

 中東・北アフリカの政情不安の一因とも指摘されており、このまま放置すれば、再び世界的な危機を招きかねないとの切迫感が会議の背景にはあった。

 にもかかわらず、中国がこの会議で強圧的態度に出たのは、とりわけ経常黒字幅が巨額で、批判の集中をかわしたかったからだ。結局、今回は日米欧が中国の主張を受け入れて妥協し、なんとか合意を演出したのが真相だ。

 ラガルド仏経済・財政・産業相は会議後、「勝者も敗者もいないウィン・ウィンの妥協だ」と語ったが、逆にG20の足並みの乱れを浮き彫りにしたともいえる。

 だが、これによりG20の存在意義が薄くなったとみるのは早計だろう。G20の枠組みは09年秋に米国で開かれた首脳会議で、世界経済を議論する「第一の場」と位置付けられたものだ。先進国のG7だけでは世界経済に対応しきれない現実が、G20創設につながったことを忘れてはなるまい。

 問題が、人民元の切り上げを渋る中国側の姿勢にあるとしても、G7側にも率先して果たすべき役割があるはずだ。商品市場の実態把握や透明性確保などに基づく投機資金の監視は、G7が先導すべき仕事だ。

 野田佳彦財務相も「G20が有効に機能するため、参加国は責任ある役割を果たすことが重要」と強調した。中国に国際協調を迫る前提として、こうしたG7の一致結束した対応が不可欠である。

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