- [PR]
[ライフ]ニュース トピック:主張
【主張】全国学力テスト 「毎年、全員参加」に戻せ
文部科学省が小中学生の全国学力テストを「数年に一度」とはいえ、全員参加方式に復活させる検討を始めた。専門家会議に諮り、3月までに決めるという。それでも、なぜ毎年行わないのかという不満は残る。
今春から「ゆとり教育」を見直し、教育内容を増やした新しい学習指導要領が小学校から順次、本格実施される。学力向上は緒に就いたばかりだ。全員参加方式の毎年実施を定着させることで教育の成果と課題を把握し、保護者らにしっかり公表してもらいたい。
学力テストは自民党政権時代の平成19年から全員参加で3年連続行われた後、民主党政権で抽出方式になった。都道府県別の成績は公表されるが、市町村や学校ごとの成績は集計できなくなった。
抽出方式に変わったのは、「序列化や過度の競争を招く」とする日教組などに配慮したからだ。しかし、こうした反対論は、昭和30年代に日教組が学力テスト反対闘争の言い訳とした政治的な主張にすぎない。全員参加方式のとき、大阪府や秋田県などで市町村や学校の成績を公表した例もあるが、「過度の競争」は杞憂(きゆう)だった。
逆に競い合ってこそ学力は伸びるものではないか。学力テストで好成績を上げる秋田県や福井県などには、県外からの視察が相次いでいる。全国平均を下回った学校が自ら保護者に協力を求め、改善に取り組む例もある。保護者の7割が学校別の成績公表を望んでいるというアンケートもあった。抽出方式では、参加しない学校や児童生徒の課題は分からない。
抽出方式になった昨春、3割のサンプル校以外にも希望する学校が多く、自主参加を含め7割の学校が学力テストに参加した。全国的な学力水準を把握し、指導改善につなげる調査の意義を認める学校が多い表れだ。
中央教育審議会の三村明夫会長(新日本製鉄会長)は会長再任の会見で、個人的な意見としつつも「悉皆(しっかい)(全員参加)調査にすべきだと思う」と述べた。教員免許更新制についても「政権が変わったから、いきなり変えるものではない」とした。当然である。中教審でも、しっかり議論を主導してもらいたい。
教員の資質向上は教育再生の重要なカギだ。競争や評価を嫌う一部の主張で教育がねじ曲げられてはならない。
- [PR]
- [PR]