自動車産業で韓国、ドイツに比べ日本のメーカーの元気がない。
国内勢の2011年3月期の業績見通しは、主要メーカーで最も回復するホンダの場合も、純利益がリーマン・ショックの前(08年3月期)の水準に届かない。
しかし韓国の現代自動車は、10年1~12月期の純利益が07年実績の3倍に増えた。独フォルクスワーゲンも10年1~9月期の純利益が07年の同じ時期と比べて大幅増だった。
円高が日本勢の重圧であるだけではない。日本のメーカーは新興国市場で後れを取っている。
例えば、トヨタ自動車は販売台数が世界で一番大きいが、世界最大の市場となった中国ではシェアが7%。中国で最も売れているのはフォルクスワーゲンであり、トヨタのシェアはその半分でしかない。
中国は昨年、最盛期の米国を上回る年間1800万台の巨大市場になった。将来は3千万台の規模に達するとみられ、フォルクスワーゲンはこのまま台数を伸ばして「18年に世界一になる」と経営者が宣言した。ブラジルでは2位の座を固め、インドではスズキと資本・業務提携するなど、着実に布石を打っている。
現代も昨年はインドで2位、中国では3位に順位を上げた。新興国ばかりでない。日本勢が軸足を置く米国市場の販売台数で日産自動車と並び、欧州ではトヨタを抜いた。品質評価ではもはや、日韓の間に大差はなくなっている。このままの状態が続くと、日本勢は韓国に地位を脅かされる公算が大きい。
市場の重心移動や海外勢の技術進歩を前提に、戦略を見直すときだ。まず、ドイツや韓国の車をもっと分析し、コストや品質、デザインで再び優位に立てるよう努力したい。
新型車の発売を中国やインドから世界に広げるなど、発想の転換も欠かせない。日本が得意のハイブリッド車などは、価格や性能面の魅力にさらに磨きをかけることが重要だ。
政策の後押しも当然要る。自由貿易協定(FTA)を世界に広げる韓国のメーカーは、世界の6割にあたる4100万台の市場で関税面の恩恵を受けている。日本企業の恩恵はその2割にとどまる。同じ土俵で競うにはFTA戦略は待ったなしだ。
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