憂楽帳

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憂楽帳:「聞く」と「聴く」

 質問のやり方には、「クローズドクエスチョン」と「オープンクエスチョン」の2通りがあるそうだ。13年間にわたり電話相談活動を続けるNPO法人「東京自殺防止センター」の創設者・西原由記子さんから教わった。

 前者はYESかNOかをただすもので主導権は問う側にあり、多用すると価値観の押し付けになりかねない。片や後者は相手の思いを引き出す問いで、会話が広がるきっかけにもなる。

 「死にたいと思っているの?」。これはクローズドクエスチョン。相手が「はい」と答えた時に、「よろしければ、なぜそう思うのか聞かせていただけますか」と持ちかけるのはオープンクエスチョンだ。答えるかどうかの選択権は電話を掛けてきた本人にあり、その問い掛けをきっかけに閉ざしていた心を開き始めることがあるのだ。

 西原さんは言う。「カウンセラーや医者でもないボランティアたちにできることは、ひたすら相手の気持ちに寄り添うこと。聞くではなく、聴く。聴くという行為には心が込めてあります」【萩尾信也】

毎日新聞 2011年2月21日 東京夕刊

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