インドネシア特使団機密盗難、現場ドキュメント(下)
警察関係者は「韓国軍関係者が通報をした」と説明した。同署が現場に出動したのは午前0時ごろだった。警察は問題のノートパソコン2台を特使団から受け取った。警察は翌17日午前4時まで監視カメラの情報確保、指紋採取などの初動捜査を行った。
警察は17日午前、被害者の事情聴取を行いたいと申し入れたが、特使団は「他の日程があるので、後回しにしたい」として、難色を示し、特使団は同日午後3時25分ごろ、仁川空港から出国した。アクマト補佐官らは韓国に残り、午後3時20分から約1時間、警察の事情聴取に応じたが、警察の捜査を望む姿勢ではなかった。
当初、特使団は「侵入者がUSBメモリーをノートパソコンに差していたか、差していたならばどの資料をコピーしたのかを調べてほしい」と要求した。しかし、警察が「調査のためにノートパソコンにある資料をコピーしたい」と申し出ると態度を硬化させ「ノートパソコンにあるいかなる情報にも韓国側の接近を望まない」として捜査を拒否した。アクマト補佐官は「異議を申し立てない」という確認書を書き、ノートパソコン2台の返却を受け、18日に帰国した。
警察は捜査過程で、事件に異常な点があることを察知した。事件当日の午前、一行の大半が午前10時に韓国大統領府(青瓦台)で李明博(イ・ミョンバク)大統領を表敬し、韓国企業のインドネシア経済開発計画参加など協力案について協議するため、宿泊先には不在だった。犯行グループは特使団が不在だという情報を得て、侵入したとみられる。李大統領の日程は対外秘のため、正確な時間は大統領府と情報当局にしか分からない。
当時、特使団の宿泊先の警備が空白状態だという情報も流出していたとみられる。インドネシア側の警護担当者は、特使団と共に大統領府に出掛けており、ホテル側も入館規制を行うための警備担当者を置いてはいなかった。警察も警備要員を派遣してはいなかった。ホテル内部に協力者がいたとみられる点も犯行グループが単純窃盗犯ではないことを印象づけた。結局犯行に及んだのは、国家情報院の職員だと判明した。
警察は20日以降、事件について沈黙している。警察関係者は「国家情報院と国防部の関係者が警察への届け出を遅らせ、特使団との接触、実際に情報が流出したのかなどを互いに確認した上で、事件をもみ消そうとしたと把握している。特使団は『不問に付そう』という韓国側の提案を一度拒否し、警察に届けられたとみられる」と語った。
チェ・ソンジン記者
韓慶珍(ハン・ギョンジン)記者
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