(2011年2月19/20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
チュニジアやエジプトでは、若者が高齢の支配者たちに反旗を翻している。英国では、若者が大学授業料の引き上げに反発し、抗議行動を起こしている。彼らに共通するものは一体何だろうか?
彼らは、影響の出方こそ違うが実は同じ現象に苦しめられている。英国の高等教育担当大臣であるデビッド・ウィレッツ氏が昨年出版した著作で「ピンチ」と形容した状況だ。
若者の数は多すぎても少なすぎても問題
世界には、若者の数が多すぎることが問題になっている国もあれば、逆に少なすぎることが苦難をもたらしている国もある。
しかし、若者の方が高齢者よりも多い国では、選挙を通じて自分たちの運命を少しましなものにするという期待を若者が抱けるのに対し、高齢者の数の方が若者よりも多い国では、高齢者が選挙を通じて自分たちに有利な状況をつくり出すことができる。
いずれの場合も世の中を不安定にする力が強く働くことになり、機会を得る人々と失望させられる人々がそれぞれ生まれることになる。
人口構造の変化は運命である。人類は3つの大きな変化の真っただ中にいる。第1に、乳幼児の死亡率が低下し、成人する子供の割合が昔よりはるかに高くなっている。第2に、女性が一生の間に産む子供の数が昔よりはるかに少なくなっている。第3に、大人が昔よりもはるかに長生きするようになっている。
これらの変化は世界中で順々に生じている。第1の変化は、人口に占める若者の比率を高める方向に作用してきた。第2の変化はその逆、つまり若者の比率を低くする方向に作用している。そして第3の変化は、かなり高齢な人々の比率を高めている。このため全体的には、まず人口そのものを増加させ、やがて再び減少させるという効果をもたらしている。
世界で進む人口動態の激変
エジプトと英国を比較してみよう。少し昔にさかのぼるが、1954年の英国の平均寿命は70歳で、乳幼児死亡率(5歳に達するまでに亡くなる子供の割合)は1000人につき30人だった。同じ年のエジプトの平均寿命は44歳で、乳幼児死亡率は1000人につき353人というぞっとするような数字だった。
翻って2009年のデータを見ると、英国の平均寿命は80歳に延び、乳幼児死亡率は1000人につき5.5人へと低下している。ところがエジプトでは平均寿命が70歳に延び、乳幼児死亡率も1000人につき21人へと急低下している。まさに大変な変化である。
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