【ソウル西脇真一、ジャカルタ佐藤賢二郎】今月16日、訪韓したインドネシア大統領特使団が宿泊する部屋に男女3人組が侵入する事件があり、韓国紙・朝鮮日報などは21日、3人が韓国の情報機関、国家情報院の職員だったと報じた。輸出交渉中の韓国空軍練習機などに対するインドネシア側の購入条件を入手する目的だったという。
ハッタ調整相を団長とする特使団は、経済協力などを話し合うため15~17日訪韓し、李明博(イ・ミョンバク)大統領とも会談した。16日、ハッタ氏側近の補佐官が宿泊するソウルのホテル19階の自室へ戻ると、3人組が卓上のノートパソコンを触っているのを発見。3人はあわてて逃走したという。
韓国は、アラブ首長国連邦やシンガポールに国産高等練習機の売り込みを図ったが失敗。対インドネシア輸出に向け、現在ロシアと激しく争っているという。
韓国外交通商省は21日、駐韓インドネシア大使を通じ調査要請を受けたことを明らかにしたが「事実関係を調査中」としている。一方、インドネシアでは「軍事情報が盗まれた」と大きく報じられ、外務省報道官は毎日新聞に「侵入事件があったのは事実だが、データが盗まれたかどうかは確認中だ」と述べた。警察が捜査中だが、結果によっては、今後の両国関係にも影響を与える可能性がある。
毎日新聞 2011年2月21日 20時10分