【北京・成沢健一】中東諸国で反政府デモが相次ぐなか、中国当局は20日、インターネット上で呼び掛けられた集会の開催を封じ込めた。だが、ネット上では今後も毎週日曜に開催を試みるように呼び掛けられており、当局はネット規制などで反体制活動への締め付けを一層強化するものとみられる。
「観光で来ただけなのに、なぜ携帯電話を没収されなければならないのか」。北京の繁華街、王府井で当局者に一時連行された男性は、報道陣にこう不満をぶちまけた。当時、1000人以上の人が集まっていた。誰かがジャスミンをイメージさせる白い花を投げ込み、それを拾った男性が政治的なアピールをしようとしたと当局者に判断されたようだ。
人だかりの大部分は、テレビカメラを持った多数の報道陣を見て「何が始まるのか」と集まってきた買い物客で、1時間ほどで警察官に排除された。だが、ネットの呼び掛けを見て来た人も少なくなかった。河北省の男子学生(23)は「集会に参加するつもりで来たが、この状況では何もできない。中東のような政変で混乱することは望まないが、公平な社会を実現するために議論が公開される必要がある」と話した。
中国の胡錦濤国家主席(共産党総書記)は19日の演説で、国内外の情勢変化を正確に把握する必要性を強調し、インターネットの管理を強化する姿勢を示した。今回の集会呼び掛けも中国国内では削除されている。
一方、集会の呼び掛けを紹介した米国の中国語ニュースサイト「博訊新聞網」は19日からハッカーの攻撃を受けてアクセスできなくなり、臨時サイトを設けて集会関連の情報を伝えている。
毎日新聞 2011年2月20日 21時49分(最終更新 2月20日 22時43分)