青森県の秘湯「隠れかっぱの湯」、撤去作業一時中止も再開へ 全国から多くの惜しむ声
公衆浴場法などの理由で撤去されることが決まった青森・むつ市の秘湯「隠れかっぱの湯」について、全国から撤去を惜しむ声が届いている。作業は一時中断となったが、やむなく19日から再開されることになった。
青森・むつ市の「隠れかっぱの湯」の撤去を惜しみ、全国から「むつの宝が消えるのは残念です」、「どれだけ多くの人が秘湯に癒やされたか」などのメールが、およそ70通、市に届いたという。
むつ市役所の担当者は「ちょっと反響が大きい」と語った。
その、あまりの反響の大きさに、17日に撤去される予定だった温泉の撤去作業は、一時中断となった。
18日、むつ市は、あらためて今後について検討することとなった。
入浴客は「みんな寂しがってる、常連の人は。なんとか残してほしいなって言っている」と話した。
「隠れかっぱの湯」は、閉鎖したホテルの露天風呂を地元の有志が自主的に管理し、次第に温泉愛好家が訪れるようになったという。
地元の人は「日本全国から来ています。遠いところは大阪とか九州とか」と話した。
しかし、公衆浴場法や県の条例で義務づけられている囲いなどがなく、道路からは丸見え。
さらに、管理者がいないため、1年前から使用禁止になっていた。
「隠れかっぱの湯」がある奥薬研(おくやげん)温泉には、3つの露天風呂があり、そのうちの1つ「元祖かっぱの湯」は、やはり周囲から丸見えということで、およそ1,000万円をかけて工事している。
一方、「隠れかっぱの湯」を訪れる地元の人からは、露天風呂ならではの解放感がいいという声が出ている。
16日に「隠れかっぱの湯」を利用していた地元の人は、「ここは開放的でいいでしょ。家の風呂に入らないで、(この)温泉ばっかり来てる」と話した。
一方、全国には、周囲360度から丸見えでも、存続している秘湯があった。
それは、大分・長湯温泉の「ガニ湯」。
観光客の女性は「ちょっと(入るのに)勇気がいるなと来てみて思ったけど、誰もいないなら入ってみたい」と話した。
地元の人は「入っている人も見られてもいい覚悟。わたしたちが残してきたいものの1つになっています」と語った。
ここは、脱衣所もあり、市が管理する、れっきとした露天風呂だった。
大分県では、「ガニ湯を商売を目的としない」、「近隣の人が利用する温泉」などと、複合的に判断し、公衆浴場法の適用外とし、使用を認めている。
日本温泉協会・布山裕一事務局長は「管理者がまず誰かということを明確にする。それがきちっと運営されていれば、存続できる可能性はあると思う」と話した。
管理者さえ現れれば存続できる可能性もあったが、18日、「隠れかっぱの湯」の今後について、むつ市は「むつ市で管理することはできない」と判断し、結局、「隠れかっぱの湯」は撤去されることになった。
撤去作業は、19日午前9時から行われる予定。
(02/18 18:58)