青森・むつ市の秘湯「隠れかっぱの湯」撤去 作業員「壊したくない。いいお湯です」
撤去されることが決まった青森・むつ市の秘湯「隠れかっぱの湯」。撤去が行われる現場には、名残惜しむ人たちの姿が見られた。
青森・むつ市の秘湯「隠れかっぱの湯」の撤去作業が、19日朝から行われた。
浴槽が崩れると、温泉が湯煙をあげ、滝のように流れ落ちた。
撤去作業開始のおよそ2時間前、地元の常連の男性が最後の入浴をしていた。
入浴客は「(何年前から?)20歳から。50年も来ている。人の楽しみにしているのを壊すなんて」と語った。
その後も名残を惜しむ人たちが訪れた。
地元の人は「みんな掃除していってる。これ(洗剤)、そうなんですけどね。(すのこ)なんか、大工の人が作った。もったいないですね。本当に残念ですよね」と語った。
むつ市には、21日までに100通を超えるメールが届いた。
「隠れかっぱの湯」は、脱衣所がなく、周囲から丸見えであることから、先週撤去されることになっていた。
愛好家からの声を受け、いったんは延期されたが、結局、管理者が現れず、撤去が決まった。
そして19日午前9時、撤去作業が始まった。
作業員によって、ついたてや、すのこが取り除かれ、浴槽の壁にはドリルが入れられた。
お湯が見る見るうちに流れ、渓流に流れ出し、あたり一面に湯気が立ちこめた。
浴槽の壁は、あっという間に取り壊された。
作業員の1人は「何度か入ったことがある。壊したくない部分もある。いいお湯ですよ」と語った。
さらに地元の食堂の人は「(撤去は)もったいない。何が起きているんだか」と語った。
地元の人は「お父さんと2人で、よく行ってました」と語った。
そして午後4時すぎ。およそ半世紀にわたり親しまれてきた「隠れかっぱの湯」は、跡形もない状態になった。
今後、およそ1カ月をかけて、自然の状態に戻すという。
土地を管理する下北森林管理所は、源泉のわき出し口は残すといい、仮に適正な管理者が現れた場合、「隠れかっぱの湯」が復活する可能性があるという。
(02/21 18:44)