So-net無料ブログ作成
検索選択

TBS「JIN-仁-」徒然日記 [テレビの雑感日記]

jin2009.jpg
 TBS「日曜劇場」の「JIN-仁-」を毎週見ていた。連続ドラマを見るのは実に久しぶりのことで、このドラマも全く期待していなかった。が、遠い昔SF少年だったこともあり、ほほうタイムスリップ物かと第1回を見たら、これがなかなかおもしろい。
 タイムスリップ、あるいはタイムトラベル物は有名なところでは自衛隊が戦国時代に行く半村良の「戦国自衛隊」、あるいは薬剤師が江戸時代に行く「大江戸神仙伝」(これは確か昔ドラマになったはず)などSFのテーマとしては別に珍しいものではない。題名は忘れたが、現代人がタイムスリップしてレオナルド・ダビンチになるという海外SFもあった。ただ、「向こうの世界」へ行くまで、甘く見て行った直後まではおもしろかったものの行った後はぐだぐただった「スターゲイト」に代表されるように行った先の話がかったるくで、ぐだぐだになってしまうことが多いテーマでもある。要するに行った後の展開がきちんと作られているのかどうかが勝負の分かれ目なのだろう。その意味では、成功したドラマだと思う(ただし、終わり方には大いに疑問がある。「最終回」の感想をごらんいただきたい)。以下は、放送の翌日あたりに書き留めておいた「日記」で、例によって採点は適当である。

★2009.10.12 第1話 ☆☆☆★★★
 日曜劇場「JIN-仁」は、ダメダメTBSにしては珍しく気合いの入った娯楽ドラマだった。今後どうなるのかはわからないが、とりあえず第1回の出来は、大量宣伝で有名人をずらりと並べたキムタクの「Mr.Brain」よりははるかにいい出来だったと言える。まあ視聴率はおそらく「Mr.Brain」の方がいいと思われるし、テレビ局にとって視聴率がスポンサー獲得のための大きな武器であることはわかるのだが、実際の視聴者にとって視聴率などどうでもいいことなのだ。その番組を見て満足できたのかどうかが重要なのである。「Mr.Brain」では爆笑問題の田中や所長の大地さん、ヤンキーの木下などなんでいるんだろう??というような扱いだった。キムタクばかりが目立つように作られていて、その他の人物がきちんと描かれていないのだ。要するにドラマの態をなしていないのだ。ラストの番宣を兼ねた香取の登場に至っては苦笑するほかない(にもかかわらず、香取の「こち亀」は大コケ。いくら宣伝したところで内容が伴っていなければ視聴率もどんどん下がっていくんだなぁ……)。
 その点、今回の「JIN-仁」は、大沢たかお、綾瀬はるか(「Mr.Brain」にも出ていて中途半端な役どころだったが、今回はいい役をもらった)、中谷美紀、桐谷健太、麻生祐未、内野聖陽、そして名前は知らないが母親を助けてもらう子役の少年ら、ラストにちょっと出てきたら金八先生に見えてやや違和感のあった武田鉄矢をのぞき、いずれも好演。ほとんどの人物像がクリアに描かれ、存在感があった。つまり、一部のタレント人気に頼るのではなく、ドラマとして自立しているのだ。演出+脚本+キャスティングがうまくできているという実はドラマとしては当たり前の勝利と言えるだろう。原作は村上もとかのマンガでまだ未完だということなのだが、この人には、出だしはおもしろかったのに引っ張りすぎて収集がつかなくなりぐだぐだになってしまった「龍-RON-」のような作品もある。原作の「JIN-仁」はまだ延々と続いていくようだが、ドラマはあまり引っ張らずに独自の展開でうまく締めくくってくれれば、久々におっさんも楽しめるいいドラマになるのではと期待したい。

★2009.10.19 第2話 ☆☆☆☆
 仕事の関係もあってテレビの連続ドラマはほとんど見ないのだが、TBS(名古屋だとCBC、大阪だと……知らん(^^;)の夜9時からの日曜劇場「JIN-仁」を見ている。今回は、第2話。だいたい第1回はどのドラマも気合いが入っているものだが、その反動で第2話でガクッと調子を落とすものが多い(「こち亀」「バチスタ」のように第1回目からダメダメなのは論外)。
 第2話は、コレラ騒動を中心に話は展開するが、第1回のテンションをきちんと維持できていて合格。今回は坂本 龍馬役の内野聖陽、武家娘・橘咲役の綾瀬はるかの演技がとくに光った。まあ内野はこれくらいできて当たり前だとは思うのだが、迫力があってかつ人なつこい龍馬のイメージを実にうまく演じており、こういう人物なら自然と人も集まってくるだろうなあという気にさせるところなど、さすがである。対して綾瀬はるかだが、サイボーグ(「ぼくの彼女はサイボーグ」)や座頭市(「ICHI」)、おっぱい先生(「おっぱいバレー」)など変な役ばかりやっている若手がこれほどきっちり演技できるとは思ってもみなかった。
「医者が人を助けていけない道理とは、どのようなものでございますか」
 なんていう台詞も武家娘らしくきちんとメリハリを付けて言えていて、座布団1枚。顎とおっぱいだけの人じゃないんですね(^^;。前回くさした武田鉄矢もときどき金八先生になってしまうものの、ラストで実にいい感じ出していた。うーん、もうけ役もらっちゃいましたねえ。
 前回にも書いたが、久々にジャニーズとかの人気タレントやいわゆるイケメン俳優に頼らない、ドラマそのものを見せるドラマといえる。シナリオがあってそれに適した役者をキャスティングできているのだ。繰り返しになるが考えてこれば、これ当たり前のことなのだ。が、昨今のドラマはまずジャニーズ系人気アイドルのキャスティングありきで内容は適当なものがほとんど。視聴率的にはヒットしたキムタク主演の「Mr.Brain」も内容は空っぽだった。このテンションでラストまでうまくいってくれればいいが、と思いつつ来週もまた見てみましょう。

★2009.10.26 第3話 ☆☆☆★★
 さて、第3回だが、今回はコレラから次のステップへのつなぎ。ほとんど綾瀬はるかが主人公と言っていい。内股の付け根の静脈云々のところの表情など実にうまくて笑える。今週も座布団1枚。ただ、全体に少し力みすぎたというか、悲壮感を出しすぎた感がないでもない。内野はあいかわらずうまいが、今回注目したのは麻生(綾瀬の母親)と小日向(勝海舟)。麻生は今こういうちょっときついがただきついだけではなく奥行きのあるおばさんやらせたらピカイチかもしれない。小日向はもうちょっと裏があるというか勝海舟なんだから得体の知れないところがあってもいいのではとも思うが、意外にもなかなかの好演。枝豆少年もあいかわらずうまい。
 個人的には点滴の場面が秀逸。点滴経験者から見ると点滴の針の確保はけっこう難しい。下手な医者だと何度も刺し直したり、液がもれて大変なことになる(どちらも経験済み(^^;)。一度お手本を見ただけの綾瀬はるかがうまくできるとはとても思えないのだが、ま、そこはドラマ=フィクションということで。大沢が点滴の器具を作ろうと金八に「ゴム管は?」「あります」「こういうものは(点滴の針)は作れますか?」「簪職人に……」というあたりのやりとりは、けっこうワクワクした。こういうところがタイムスリップというか時間SFの醍醐味だろう。
 これで導入部と最初の事件は一応ケリがついたわけだから、さて来週からどんな展開になるのか。ただ、感動シーンは嫌いではないがさすがに今回のように力みかえったシーンばかりが続くと感動も薄らぎ、こちらも歳なので疲れてくる。もう少し軽やかに息ができるような展開があってもいいと思うのだが。来週の予告を見ると、龍馬も本格的に動き出すようだし、いままでの局地戦からもう少し広い世界への展開に期待したい。

★2009.11.01 第4話 ☆☆☆★★★
 第3話から数か月後?が舞台。第3話に登場した人物(枝豆少年など)のその後についても冒頭で簡単に説明され、物語は起承転結の起が終わり、承に入ったことがわかる。
 今回はいよいよ花魁の野風(中谷美紀の二役)と出会うというのが最大の売り。が、その前に大沢の医学講義の場面が久々に明るくいくらかコメディタッチもあってホッと一息つける。第2話のラストでもうけ役だった武田が今回もわずかの登場で場をさらっている。「特別出演」とあるが、金八先生が生徒役というだけでもう笑える。何度も言うようだが、武田君、こんないい役はそうそうはないぞ。第3話も悪い出来ではないのだが、やはりあの重苦しいタッチが毎週続いたらちょっと辛い。明日からまた仕事が始まるという日曜の夜なのだから、少しは今回のような息抜きもほしい。内野龍馬(あいかわらずいい味出している)に連れられて吉原に来てしまった大沢が主の六平(悪党面なのだがこれまたいい味出しているなぁ)の頭の手術をするのだが、演出も手術場面はもう手慣れたものでうまく緊迫感を出している。若い頃からきつーいイメージのあった水沢あきは女将となって怖さが倍増した。顔も声も本当に怖いぞー。そして、お待たせしました。といっても私は別に待っていたわけではないが、江戸時代の中谷美紀さんいよいよ登場。目の小じわがちょっと気になるものの演技はきちんとできていて、あまり色気はないものの毅然としたしゃべり方、立ち居振る舞いで花形花魁・野風の雰囲気をよく出している。ストレスのたまる仕事なのでしわが増えたのだろうと好意的に解釈しよう。ただし、野風の回想シーンはちょっと長すぎ。野風が主の六平を助けて欲しいという理由付けで回想シーンが必要だったのだろうが、視聴者は野風の生い立ちなんぞにはあまり関心はないわけで(少なくとも私は全く関心がない)、ここは話を中断しないためにももう少しさらりと流してよかったのではと思う。うまいと思ったのは、綾瀬が大沢の写真(現代の中谷と大沢が一緒に写っている)を見てしまい、その後で野風の中谷を見て驚くというシーンなど、うまく伏線が生きた。
 その他では、第1回を見たとき、武田と同様ミスキャストかなあと思った小日向のおっさんが、勝海舟の役でいい味出していた。訂正しておきたい。

★2009.11.08 第5話 ☆☆☆★★★
 今回のメインテーマはペニシリン。梅毒で死にそうな花魁・高岡早紀を救うためにペニシリンを作るわけだが、ともかく作る過程がおもしろい。本当にこんなんで出来るのかどうかは知らないが、いかにもそれらしいのでまたまたしっかり見てしまった。作ったサンプルの薬効があった、という場面などなかなかの盛り上がりをみせる。ガッツポーズを見せる者もいたが、まあドラマだからいいとしよう。これで高岡が助かってしまったらいくらなんでもちょっと都合がよすぎるぞ、と思っていたが(以下、ネタばれ)そういうこともなく死に際もうまくまとめられていた。それにしても高岡はこんな役、よく引き受けたなぁ。回想シーンで花魁道中の場面が少しだけあるが、梅毒でできものいっぱいのままほとんど寝ているだけ。仕事がないんだろうか。ただ、演技は意外ときちんとできていたし、「……おさらばえ」は名台詞だったけどね。
 花魁・中谷さんは可もなく不可もなくといったところだが(現代シーンでの、若い医学生の役はさすがにちょっと苦しかった(^^;)、このドラマのプロデューサー、ディレクターって、明らかに綾瀬はるかが好きというか、お気に入りだねー。サイボーグ(正確にはアンドロイド)や座頭市の役などもこなしているのだから、若手女優としては演技力はあるほうなのだろうが、それにしても毎回かっこいいシーン多すぎ。かっこいい台詞多すぎ。
 少し展開が早いかなという気がしないでもないが、梅毒のシーンも放送時間(午後9時から)を考えてあまりえげつなくならないよううまく表現されており、十分に納得の出来にはある。が☆☆☆☆ではなく★一つ少なくしたのは、このドラマで最もお気に入りの内野龍馬の出番が少なかったため。やっぱり内野龍馬が出てこないと、もう一つ話が外に向かって広がらない。予告編を見ると来週はけっこう出番がありそうで、今から期待している。
(一つ大きな問題が。このドラマは毎回DVDレコーダーのHDDに録画してリアルタイムに見た後何日かおいて見直しているのだがうまく録画できているのかどうか確認してみたら、なんと砂の嵐。先日、レコーダーがうまく起動してくれないのでリセットしたら入力関係もリセットされてしまい、チューナーと接続されていなかったようなのだ。げっ、と言ってももう遅い。ショックだ……。)

★2009.11.15 第6話 ☆☆☆☆
 いよいよ「JIN-仁-」も後半戦。というか、全11回だとしたらちょうど折り返し点。野風・中谷の出番というか、からみも増えてきた。中谷美紀はちょっと老けて見えるのが難点だが、きちんと花魁には見え(と言う私は花魁というものを知らないが(^^;)、今回はいい見せ場も用意してもらっていた。もっとも、スタッフお気に入りと私が勝手に決めつけている咲・綾瀬はるかはそれを上回る見せ場を用意されていたので、どうしてもそっちのほうが印象には残ってしまう(「ICHI」で共演した仲なんだから、ああいう助け方ではなく、いきなり綾瀬が仕込み杖を抜いて……、なんてことはなな(^^;)。また、どうして仁・大沢の場所を知っていたのかという疑問もあるが、そのあたりの説明をしようとすると絶対に話のスピード感が落ちてしまう。あちこち探して偶然間に合ったということにしておこう。
 佐分利・桐谷は初めてというくらい見せ場を作ってもらったのだが、ちょっと力み過ぎ。「ROOKIES」のときの癖がまだ抜けないのかな。第1回を見たときちょっとけなした武田は今回もいい味出していた。というか、今回の設定の半分は金八先生の延長。やっばり餅は餅屋。この人に説教をやらしたら臭いんだけれど妙な説得力があり、ついうなずいてしまう。内野龍馬については呆れるほどの存在感なのでもう何も言うことはない。すばらしい。人物関係がいろいろ錯綜した回だったが、交通整理もそれなりについていて合格。むしろ平成22年の10円硬貨の出現など、ここにきてまた謎を増やして大丈夫かと心配になるくらいのものである。中だるみどころかますます面白くなってきた。
 ただ1点、気になったこと。野風・中谷がぼんやりと考え込んでいる手前に鉢植えのタンポポが咲いている。この場面は夜だと思うのだが、タンポポの花は夜はしぼんでいるはず。これは私が仕事でタンポポの昼夜の写真が必要になり、自分で定点撮影したことがあるのでまちがいない。まあドラマの本筋からは離れた部分だが、ちょっとだけ残念。

★2009.11.22 第7話 ☆☆☆★★★
 知り合いに「JIN-仁-」のまんがを読んでいる人がいて、全体にはまんがにのっとっているが、第1話の現代の部分や2人が写っている写真、先週出現した10円硬貨などはないそうだ。まんが(あるいは小説)で印象に残るシーンと、ドラマで印象に残るシーンは違って当たり前なので、それは別にいいというかドラマの脚本、演出として改変は当たり前のこと、という原作をそのままなぞったのではアホである。。原作は原作、ドラマはドラマとして見ればいいと思う(だからといって、むやみに原作を変えろと言っているわけではない。後先考えないアホな改変で、かつてフジテレビで放送された「らせん」「チームバチスタの栄光」などは連続ドラマにするために無理矢理改変した結果、ぐだくだになってしまった)。
 さて、今回の主役は緒方洪庵、つまり武田金八先生。何度も書くようだが、見せ場たっぷりで、しかもいい台詞ももらっている。役柄も人間的にスケールアップした老後の金八先生そのままで、前回のような説教シーンは、ぴったり。多くの人に感銘を与えて静かに消えていく……。こんないい役本当に二度とないような気がする。この、果報者め。
 ちょっと気になったのは小出君(「サイボーグ」では綾瀬の恋人役だったが、今度は兄)。まあ他のキャラが立っているだけにちょっと影が薄いのだが、だからといって遊女(うちの奥様が、水沢エレナという女優だと言っていたが、知らん(^^;)にふらふらしてというのは話を広げすぎていないか。どうでもいいような枝葉の話ならないほうがすっきりするし、もし本筋だとしたら、こんなにいろいろ話を広げて、うまく収束できるのか。ワンクール11回の予定で始めたのだが視聴率がいいので(最近は秋ドラマでは唯一20%を越えている)、続編や映画化の噂が絶えない。他のドラマは軒並み一桁、さらに馬鹿な編成のおかげで他の番組も惨敗のTBSなので気持ちもわからないではないが、「さあ後は映画で」なんてことになったら視聴者の大反発を買うことは必至。続編はともかくとして、「どうせいいかげんな結末で、映画を見ろということなんだろ」と他のドラマも思われ、地滑り的な視聴者離れの末、テレ東にも抜かれ最下位ということにもなりかねないぞ。

★2009.11.29 第8話 ☆☆☆★★★
 今回はどうも今まで影が薄かった小出君がメイン。大沢、内野らはともかくシナリオも演出も妹の綾瀬の方に力点を置いているので仕方がないと言えば仕方がないのだが、旗本のぼんぼんならではの純朴な必死さが出ていて、すれすれだが合格といったところか。ちなみに、綾瀬は今回も「必死」の名言が出た。昔、柴田錬三郎の小説を読んでいたら「二十歳の大年増」という記述がありびっくりしたことがあるが、「とうはたっておりますが」と言っても、綾瀬が女郎になったら中谷よりはるかに客がつくのでは(^^;、なんて馬鹿なことを考えたりもした。ただ、当時の1両は現在の7万〜10万くらいなので、いくら綾瀬が巨乳だといっても400両といえば3000万はする。これを高いと見るか安いと見るか。以前、「一発300万」などと週刊誌に書かれ消えて行ったタレントと比べれば安いのかな。もちろん、そんな金はないが。
 話が脱線した(^^;。その他では、役者をやった人(名前知らない(^^;)やヤマサの「世界の車窓から」おじさん(石丸謙二郎)も、ちょっと嫌みなところを見せながらも、もうけ役のシーンがちゃんと用意されていた。ああいうシーンって、多分演じている役者さんたちも気分いいんだろうね。内野はあいかわらずバイタリティーあふれる演技で、ともすればちょっと絵空事の悲劇に流れてしまいそうなドラマに妙な現実感を与えている。毎度のことながら、たいしたものだ(来年の大河で福山が龍馬をやるようだが、内野龍馬のインパクトがあまりに強烈なので苦労するかもしれない)。
 全体としては、後半へのつなぎの回で、☆☆☆★★といったところだろう。☆☆☆★★★となったのは、ひとえに「来週の予告編」につきる。こと予告編に関しては、いったいどうなるのだろう、来週も見なければという気にさせた、今までで最高の予告編であった。(^^;

★2009.12.06 第9話 ☆☆☆☆
 いやあ江戸の火事、力入ってましたなあ。藤田まこと病気降板で急遽出演が決まった中村主水ならぬ中村・紋次郎まあまあがんばったんじゃないのかな。火消しといっても半分は侠客というかやくざみたいなものなのだから、昔取った杵柄といったところか。火消しの意地と医者の意地のぶつかり合いはなかなかに見応えがあった。ペニシリンが主役になってしばらくお休みしていた久々の手術シーンも火事が迫ってくるという中でのもので緊迫感満点。このところ静の展開が多かったので、今回の動はシリーズ構成としても成功していると思う。
 中谷花魁も年齢的にはちょっと辛いのだが(なんせ綾瀬が「とうはたっておりますが」と言うような時代である)台詞はきっちり言えていてそれなりに違和感なく演じている。もうけ役の綾瀬もあいかわらずいい場面で使ってもらっている。が、中谷花魁とのあわやのシーン、火事のシーンなどいろいろあった中で今回も場をさらっていってしまった大もうけの達人はまたしても内野龍馬。今にも泣き出しそうな中谷を抱きしめ、これなら泣き顔を見られることはない(気が済むまで泣いたらいい)なんて、カッコよすぎ。ううむ、……こやつできる。
 というわけで、聞くところによるとNHK「坂の上の雲」とバッティングしたせいか視聴率はいまいちだったようだが、ドラマ自体の採点は上がった。それにしてもだ、ここまできてしまうとあと2回。本当に伏線として仕掛けられた多くの「謎」をすべて回収できるのだろうかと心配になってきた。まさか解決はパート2へとか映画でなんてことはないと思うのだが、子どもだましのとってつけたような解決だけはやめて欲しい、と変な心配が浮上してきた第9話だった。
(いいニュースが一つ。このところ民放界の万年4位でテレ東にも抜かれそうなTBSがついに「JIN-仁-」の再放送を決め、今週から始まっている。さっそく12/11金曜日に放送される第5話の録画予約をした。意味のない番組移動を強行し、ゴールデンに内容のない帯のニュース番組を作り、ダメTBSをダメダメTBSにしてしまった編成局長がついに更迭されたようだ。これでTBSもダメダメからダメくらいにはよくなるのかもしれない。)

★2009.12.13 第10話 ☆☆☆★★
 このドラマだいたい今週はこの人がメインだなという作りをしている。たとえば第6話は桐谷、第7話は武田、第8話は小出、先週の第9話は紋次郎といったぐあいだ。で、今週はまたまたスタッフお気に入り(と、勝手に私が決めつけている)綾瀬が主役だった。中谷も演技力でき負けていないというかむしろ勝っているのだが、シナリオも含めてどうしても綾瀬の方に力点が置かれてしまっている。ま、綾瀬の方が巨乳で若いし仕方ないか(^^;。
 ただ、今回はちょっと疑問もあった。大沢・仁がどうにも優柔不断な人間、あるいは冷酷な人間に見えてしまうのだ。現代では中谷と婚約までしていた男である。いくら何でも綾瀬や中谷の気持ちに気づかないというは鈍感すぎるというか、不自然というか馬鹿である。でなければ、ある意味女性の気持ちをもてあそんだ冷酷な人間ということになるが、そもそも大沢仁の性格設定はそうはなっていない。そのため別れのシーンにもちょっと無理矢理の感じが出た。そんな妹の大沢に対する一方通行の気持ちを受け止めて、以前、影が薄いと書いた小出君と麻生奥様がいい味出していたのが救いか。ラストの10分ほどはいい感じの緊張感で次週につないだが(内野龍馬の殺陣はさすが)、仁先生もう少しちゃんとせんとあかんがな。先週登場した火消しの紋次郎一家が今週出番がないのも不満。このままでは、あのエピソードは何だったのかということにもなりかねない。危機一髪のところにこそかっこよく登場してもらいたかったと思う。
 さて、来週はいよいよ最終回。
 85分の拡大枠だそうだが、正味70分程度のものだろう。果して70分で入り組んだ伏線をきれいに回収できて、スカッと終わることができるかどうか。今までラストでこけたドラマや映画を山と見てきたので正直心配もある。スタッフのみなさん、頼んだぜよ。と言ったところで、もう収録は終わっているんだろうが。
(初回に録画を失敗した第5話は無事録画できた。が、問題はオリジナルでは遠藤憲一の「水と生きるサントリー……」なんて入るナレーションが全くないこと。このスポンサー告知は、水と生きるサントリーのところには美しい水の流れが、支え合う日本生命のところには子どもを支え上げているシーンが入るという具合に実によく考えられているのだが、それがない。まあ、再放送は時間帯もスポンサーも違うのだから仕方ないといえば仕方ないのだが、ちょっと残念な結果ではあった。)

「JIN-仁-」日記・最終回
★2009.12.20 第11話(最終回)
 金・土と関係タレント(とくに大沢と綾瀬)があちこちの番組に出ずっぱり。もちろん番宣なのだが、超低空飛行が続くTBSにあっては、逆に「JIN-仁-」の人気に便乗してその番組の視聴率を少しでも上げようと考えているのではないか、と思えてしまうから皮肉である。
 最終回は先週の予告で「85分スペシャル」と告知された。が、新聞のテレビ欄を見ると「JIN-仁-」は9:00に始まって10:19からは別の番組が始まっている。ええーっ、あの告知は嘘だったのかと思ったのだが、よく考えてみれで2時間ドラマはだいたい1時間54分、90分(1時間30分)拡大版なんていうときは84分(1時間24分)。つまり告知時間から6分程度引く(ここにミニ番組が入ってテレビ局がCM料を稼ぐ)のが普通なので、別に嘘でも何でもなかったわけだ。と思いつつ、ちょっと損した気分になったのは、最終回への期待が大きかったためだろう。
 ……と思いつつ見たら、脱力。
 始まって1/3はゆっくりした展開で、大丈夫かいなと思いつつ見ていたのだが手術を決意するあたりからは快調。しかし、時間がない。このままでどうするんだろうとハラハラして見ていたらエンディング曲が。えっと、思わず時計を見てしまった。もしかして最後のワンシーンですべての謎が解けるのか。現代の中谷が元気に教えているシーンが一瞬。おっと思ったところでクリリン君(ホルマリン君ともいう)の目が、パチッと開いたところで、ジ・エンド。
 そりゃあ、ないぜ。
 そもそもタイムスリップに関しては、かつての「戦国自衛隊」でもそうなのだが、なぜ起こったのかの説明は不要。つまり、タイムスリップでこんな時代にきてしまいました、という枠組みなので別に解決する必要はない。が、しかし、第1回で仁が手術した患者(包帯男)は誰だったのか、そしてその患者の頭の中から出てきたクリリン君の正体は何なのか。そこに重大な謎があるのだといわんばかりの思わせぶりで何度も出てきているのだから、こういうところはきちんと解決してくれないと終わりにならない。
 森下という脚本家らしいが、この人、男女の愛憎や決め台詞はうまいのだが、タイムスリップという仕立てのおもしろさがどこにあるのかわかってないね。しかも、この「日記」でも再三指摘しているように、謎を出して引っ張って行くのはいいが、その回収が下手だ(いい例が平成22年の10円玉。何のために出したのかあいまいなまま不発に終わってしました)。それなのに次々と謎を広げて回収不能に陥りとうとう投げ出してしまったとしか思えない。この手のタイムスリップ、あるいはタイムトラベル物のおもしろさは、ひとえにこの回収のおもしろさにある(現代と過去をうまく結んだ例として「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を挙げておく)。それが、せいぜい手習い塾を始めた中谷が未来、つまり現代では予備校らしきところの講師をやっている(未来は変わってしまい、植物人間になっていた中谷は元気!)くらいのもので、あとのほとんどは未回収なのだから文句の一つも言いたくなるというものである。
 原作まんががまだ完結していないことから噂になっている来年の第2部、あるいは映画の予定があって、こうした結末にしたのだろうか。それにしてもだ、この回はこの回としてきちんと結末をつけるべきである。すくなくとも番組の終わりに第2部、あるいは映画の告知はなかった。仮面ライダーだったかがかんじんのところで番組は終わり、結末は映画でとやって非難を浴びたばかりである。もし非難を避けるために時間をおいて告知しようと考えているのだとしたら悪質である。せっかくのいいドラマが(この最終回も、小出が綾瀬を大沢のところへ行かせるシーンや、中谷の別れのシーンなどなかなかよかったのに)最後に台無しになってしまった。
 こういういいかげんなことをされると、久々に連続ドラマを見たのだが、(噂通りなら)映画の長ーい予告編を見せられたようなもので、もうTBSのドラマは見ないぞ、という気になってしまう。編成のめちゃくちゃで軒並み視聴率が下がっているようだが、金儲けに走り(企業である以上それが悪いとは言わないが、そのためにかんじんのドラマを台無しにしてしまっては本末転倒である)何か勘違いをしているのではないのか。
 というわけで、最終回は、採点なし。
nice!(0) 

nice! 0