主にプラスチック材料の性能向上のために、プラスチック材料と強化繊維材料を合わせて用いるのだけれど、こういう目的のために用いられる強化繊維は、たいてい、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維である。
通信用光ファイバーは、強化材料に使うガラスとはまるっきり異質なものなので、これは、別物と思っていただきたい。
鉄鋼を作るときにでるかすであるスラグだけれど、スラグからも繊維ができる。ロックウールである。これは、ガラス短繊維の一種であると考えてよいものである。
ガラスからは、巻き取って織物にできる長繊維を作れるけれど、これは、特殊なガラス組成のガラスである。どんなガラスでもガラス繊維にできるわけではない。ガラス繊維織物は、プリント回路板の材料に使われることが多いけれど、こういう用途のガラス繊維は、絶縁性も高くないといけないので、さらに特殊な組成のガラスとなる。ガラスはアルカリに弱いので、ガラス繊維は、アルカリ性環境では用いることができない。また、伝導性の用途にも用いることができない。
炭素繊維は、ポリアクリロニトリル繊維を焼成して作る。ガラス繊維より、機械的性能では優れているケースが多い。しかし、高価なので、性能に見合う用途は少ない。電気を通してしまうので、絶縁用途には使えない。ポリアクリロニトリルを焼いて、中身をやせさせてしまう方法ではなく、ピッチから繊維を作って、それを焼いて、歩留まりのいい炭素繊維を作る方法もある。この方法のほうが、工業的には優れている。収率もよく、工程も少ない。しかし、やはり、ポリアクリロニトリル繊維から得られる炭素繊維ほど性能のよいものは、ピッチ系で安定して製造するのは難しいみたいである。でも、価格の面から、炭素繊維は、いずれどんどんピッチ系に移るであろう。
アラミド繊維は、ナイロンの一種である。しかし、被服目的には使用できない。原料の二有機酸と有機ジアミンがともに芳香族を有している。それゆえ、強化材料として使えるのである。結構耐熱性もあるし、軽量で、ガラス繊維や炭素繊維の使えないところでは有益な材料である。しかし、あまりに高価なので、用途はひどく限定されている。なにぶん、アミド結合なので、水分には弱い。水分が多くて発熱する環境では、アラミド樹脂が分解してしまう。これはこれで欠点があるのである。
結局のところ、工業材料なんていうのは、価格が決め手の話が多い。それに、いくら繊維化できるガラス組成が特殊だといっても、それなりにいろいろな用途向きに組成を工夫する余地もある。そんなわけで、廉価で使い勝手がいいから、余り細番手でないガラス繊維の需要が大きいのである。細番手のガラス繊維は、製造法が特殊になってしまって、大きな生産能力が得られず、高価になってしまうから、これもお呼びがあまりかからなくなるのである。
それでも、喫緊の用途がいくつも生み出されれば、炭素繊維やアラミド繊維の市場も大きくなろう。だが、そういう市場が大きくなるには、金に糸目をつけない顧客が増えることが必要で、そういう顧客相手に商売をすることは、じつは大規模工業的ではなく、たいていは、家内工業的な生産に逆戻りをする話になっていってしまうのである。
通信用光ファイバーは、強化材料に使うガラスとはまるっきり異質なものなので、これは、別物と思っていただきたい。
鉄鋼を作るときにでるかすであるスラグだけれど、スラグからも繊維ができる。ロックウールである。これは、ガラス短繊維の一種であると考えてよいものである。
ガラスからは、巻き取って織物にできる長繊維を作れるけれど、これは、特殊なガラス組成のガラスである。どんなガラスでもガラス繊維にできるわけではない。ガラス繊維織物は、プリント回路板の材料に使われることが多いけれど、こういう用途のガラス繊維は、絶縁性も高くないといけないので、さらに特殊な組成のガラスとなる。ガラスはアルカリに弱いので、ガラス繊維は、アルカリ性環境では用いることができない。また、伝導性の用途にも用いることができない。
炭素繊維は、ポリアクリロニトリル繊維を焼成して作る。ガラス繊維より、機械的性能では優れているケースが多い。しかし、高価なので、性能に見合う用途は少ない。電気を通してしまうので、絶縁用途には使えない。ポリアクリロニトリルを焼いて、中身をやせさせてしまう方法ではなく、ピッチから繊維を作って、それを焼いて、歩留まりのいい炭素繊維を作る方法もある。この方法のほうが、工業的には優れている。収率もよく、工程も少ない。しかし、やはり、ポリアクリロニトリル繊維から得られる炭素繊維ほど性能のよいものは、ピッチ系で安定して製造するのは難しいみたいである。でも、価格の面から、炭素繊維は、いずれどんどんピッチ系に移るであろう。
アラミド繊維は、ナイロンの一種である。しかし、被服目的には使用できない。原料の二有機酸と有機ジアミンがともに芳香族を有している。それゆえ、強化材料として使えるのである。結構耐熱性もあるし、軽量で、ガラス繊維や炭素繊維の使えないところでは有益な材料である。しかし、あまりに高価なので、用途はひどく限定されている。なにぶん、アミド結合なので、水分には弱い。水分が多くて発熱する環境では、アラミド樹脂が分解してしまう。これはこれで欠点があるのである。
結局のところ、工業材料なんていうのは、価格が決め手の話が多い。それに、いくら繊維化できるガラス組成が特殊だといっても、それなりにいろいろな用途向きに組成を工夫する余地もある。そんなわけで、廉価で使い勝手がいいから、余り細番手でないガラス繊維の需要が大きいのである。細番手のガラス繊維は、製造法が特殊になってしまって、大きな生産能力が得られず、高価になってしまうから、これもお呼びがあまりかからなくなるのである。
それでも、喫緊の用途がいくつも生み出されれば、炭素繊維やアラミド繊維の市場も大きくなろう。だが、そういう市場が大きくなるには、金に糸目をつけない顧客が増えることが必要で、そういう顧客相手に商売をすることは、じつは大規模工業的ではなく、たいていは、家内工業的な生産に逆戻りをする話になっていってしまうのである。